夢現な眠り
□2話
2ページ/8ページ
懐かしい夢を見た気がする。
私は自宅の寝室で目覚めた。あ、頭が痛い…。
白で統一されたこの部屋は、何度見ても落ち着かないな。
これでも一応女子高生何だから、可愛らしい物とか取り入れてほしかったわ、こんちくしょう。
シンプルイズベストとか言う人いるけど、シンプル過ぎても逆に困る。
さて、何でトリップしたのに自宅があるのかと疑問に思ったそこの貴方!
経緯を説明しようじゃないか。
答えは単純!
此処がトリップした場所だから。
いやー、ディアラヴァのトリップ小説によくある定番の、森の中で目覚めちゃった☆系じゃなくて安心したよ。
そこだけは、ここに私を送り込みやがった神様的な奴に感謝だな! うんうん。
住むところもないし、だからこの部屋を使わせてもらっている。
普通のマンションの一室なんだけど、表札は「佐倉」と書かれているから尚更ね。
この部屋を誰が買ったかは知らないけれど、まあ……その場の流れで住んでるワケっす。
リビングにあるテーブルには、トリップ物にはこりゃまた定番の、多めに金額が入った通帳とか戸籍云々の書類があって、それを使って生活してます。
生活用品もあったし、必要な洋服もクローゼットに収納されてたからね。
…なんて便利なの。準備が良過ぎて引いてしまうレベル。
おっと、空想に浸り過ぎて脱線したな。
ぬっくぬくの布団から出て、学習机を見てみると、荒く千切った一枚の紙が置いてある。
【異変なし】
その一言だけ書かれた紙は、きっと人格が残したものだ。この字は、多分リンかな?
隣の部屋が空き巣に入り、最近夜に他の人格が出ることが多くなっていた。強盗に居合わせたら怖いから、無意識に誘発させてしまっているのかもしれない。
まあ、昨日何もなかったなら良かった。