夢現な眠り

□2話
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懐かしい夢を見た気がする。

私は自宅の寝室で目覚めた。あ、頭が痛い…。

白で統一されたこの部屋は、何度見ても落ち着かないな。

これでも一応女子高生何だから、可愛らしい物とか取り入れてほしかったわ、こんちくしょう。
シンプルイズベストとか言う人いるけど、シンプル過ぎても逆に困る。


さて、何でトリップしたのに自宅があるのかと疑問に思ったそこの貴方!
経緯を説明しようじゃないか。

答えは単純!


此処がトリップした場所だから。


いやー、ディアラヴァのトリップ小説によくある定番の、森の中で目覚めちゃった☆系じゃなくて安心したよ。
そこだけは、ここに私を送り込みやがった神様的な奴に感謝だな! うんうん。

住むところもないし、だからこの部屋を使わせてもらっている。

普通のマンションの一室なんだけど、表札は「佐倉」と書かれているから尚更ね。
この部屋を誰が買ったかは知らないけれど、まあ……その場の流れで住んでるワケっす。


リビングにあるテーブルには、トリップ物にはこりゃまた定番の、多めに金額が入った通帳とか戸籍云々の書類があって、それを使って生活してます。
生活用品もあったし、必要な洋服もクローゼットに収納されてたからね。

…なんて便利なの。準備が良過ぎて引いてしまうレベル。




おっと、空想に浸り過ぎて脱線したな。

ぬっくぬくの布団から出て、学習机を見てみると、荒く千切った一枚の紙が置いてある。

【異変なし】

その一言だけ書かれた紙は、きっと人格が残したものだ。この字は、多分リンかな?

隣の部屋が空き巣に入り、最近夜に他の人格が出ることが多くなっていた。強盗に居合わせたら怖いから、無意識に誘発させてしまっているのかもしれない。

まあ、昨日何もなかったなら良かった。
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