夢現な眠り

□13話
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No side









「なんの妄想をしてるか分かりたくもないが、黙れ変態」
「それはボクにとっては褒め言葉だね」

ライトは、一つのパン目掛けて飛躍している彼女の頬をぬぅっと撫で上げる。それにより、初めて彼の存在に気づいたアオイは、きょとんと目を瞬いた。

「?」
「シュウがこの子をずっと見てたのバレバレ。そんなに気になるの?」

その柔らかい頬を指でつまむと、「いへっ」と間抜けな声が聞こえてきた。


「ふぅーん。ちゃんと痛覚はあるんだ」

独特の笑みを漏らしながら、ライトは頬をぐいぐい引っ張る。その度に頬が伸び縮みし、なかなか面白い光景だ。

そしてライトの唇から覗く牙は、相手の様子を伺っているように妖しく光っている。



「いい加減手を離せ」

シュウは彼女の後ろに回り、目の前のライトを威嚇するように睨んだ。その隙に彼女はシュウの手からパンを奪い取る。
「パンげっと〜」


「こいつには聞かたいことが──」
「そんなのどうでもいいじゃない。シュウはこの子とイイことしてたんでしょー? 僕も味見したいなぁ」
















「──なーにが味見だよバカライトぉぉぉ!」
さっきまで大人しくされるがままだった少女からの、怒号が部屋にこだまする。

「ほっぺ引っ張んなし! 痛い!」

いつの間に自我を取り戻した"エレン"は、解放された頬を優しくさする。
なんで引っ張られる流れになったのかは知らないが、距離を取ろうと後ずさりした…。

──かったが。

シュウが邪魔で後ろに逃げられない。


「…え、なに。この状況」
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