夢現な眠り
□10話
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部屋inエレン。
私は考えた。どうしたら元の世界に帰還できるのかを。
そもそも来た理由も分からないし、誰がやったのかも分からない。私はどこぞのアホ神がやったのかと予想するけど。
この際、誰がやったかはもうでもいい。
……うそです、少し気にします。
そして、私は考えた。(二回目)
トリップしたなら、元の世界にトリップすればいいと…!!
"戻る"んじゃないんだよ。
"トリップ"するんだよ。
思いたったら即行動!!
ネットで『絶対にトリップか成功する百の方法』っていうサイト見つけたんだよね。
ウシシ。やってみよ。
トリップ実験、結果はっぴょーう。
ジャカジャカジャカジャカ、ジャンッ!!!
はい、もうみなさん分かりますね。
全滅でした。はいー。
おいコラ、サイトの管理人!! なーにーが、"絶対に成功する"だ!
嘘っぱちじゃねぇーかぁぁ!
結構いい考えだと思ったのに。
徹夜してまで全部試したというのに…。
うっ、眠い…。急に眠気が……って、ダメダメ。学校があるんだ。
あー、でも今布団とおともだちになったら気持ちいいだろうな。
誘惑に負け、布団に手を伸ばした途端。なんともバッドなタイミングでノックがかかる。
「エレンちゃーん? 準備できたかな?」
あ、ユイちゃんだった。
扉を開けると、ユイちゃんがわたわたしている。かわいい。
「レイジさんがちょっと怒っちゃってるよ。遅い! ──って」
「ごめんごめん。さっき終わったところ」
言えねー。
居眠りしようとしてたなんて絶対言えねぇ。
「っ……」
玄関へ向かってるとき、突然ユイちゃんが胸を押さえてふらついてしまった。
超絶紳士(自称)なエレンちゃんは、よろめく少女を華麗に受け止める。
「大丈夫?」
「う、うん……」
「気を付けてねー?」
「エレンちゃん優しいね! ありがとう!」
……あ、あれ。
やっぱり寝不足かな。
ユイちゃんが違う女の子に見えちゃった。紫の髪……?
あー、幻覚見えるとか…。疲れてんな私。
「やっと来ましたか。まったく貴女って人はだらしないですね」
いや、私よりシュウの方がだらしない気が……げふんげふん。なんでもないです。
小言も貰いながら、車に乗らせてもらった。端っこの窓際に座ろう。
ふと見ると、黒く曇っている窓に写った私自身と目が合う。
すると視線の端にまたまた女の子が見えた。……気がした。今度は黒髪だったような。
振り返っても、ユイちゃんは反対側にいて、他は野郎しかいない。
も、もしかして……オバケ?
そう思い始めたら、冷や汗がどばっと出た。
「百面ちゃーん。どうしたの?」
ぽんと肩に置かれた手。
青白く見える手はまるで…。
あ、オワタ──…。
「あ、気絶しちゃった」
「ライトのせいでエレンさんがおかしくなってしまいましたね。ねぇ、テディ」
「ええ、ボクのせいなの!?」