▲緑にまつわる物語▲

□隠れ家
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「よいしょ。」
ガチャリ
僕を左腕だけで抱くように抱え直して、空いた右手でドアを開けた。
「おじゃまします。」
ドアの向こうにはベンチプレスやダンベルなどのちょっとしたジムマシンと
大きなモニターのパソコンのあるデスク
作り付けの扉(収納 ?)そして奥に もう一つ部屋があって
ミニキッチンのある部屋があった。
そこには キングサイズのベッドと 小さな冷蔵庫。

「オールマイトの秘密の部屋 って感じですね。」
「君をここに連れてきたのも 秘密にしようかな。」

そのベットに
ふわりと座らされた。

「痛くないか?」
「動かさなければ大丈夫です。」
「そっか。
えっと、確かここに」
そう言って 小さな冷蔵庫をあけて、
まだマッスルタイプの大きな体を突っ込んでいる。
「ああ、あったあった。これ
これなら、ちょっとは気休めになる。」
そう言ってコンビニでも見かける プロテインドリンクを出してきた。
そうして、僕にキャップまで開けてから渡してくれる。

「飲んで飲んで。僕はそこのメーカーのイメージキャラクターもしているから
いつも飲みきれないぐらい 貰っちゃって。 たくさんあっても困るよね。」

オールマイトも同じドリンクを飲んでいる。
シューシューと 神秘的な霧をまといながら
トゥルーフォームになっていく。
心の許せる人にしか見せないこの姿を
僕の前でも見せてくれるのがなんだか凄く嬉しい。
「ごめん、マッスルタイプは疲れるんだよ。」
「わかってます。
僕は トゥルーフォームのオールマイトも好きですよ。
シュッとしてスマートで。」
オールマイトを見上げていると
スマートな顔が近づいてきた。
「こっちの私も 好き?」
「ええ、 あ っ。」
返事をしかけたら

キスをされた。
「実は、私も。緑谷少年が好きだ。君は個性を渡したってだけじゃない何か気になる存在だ。それが何かわからないけど、もしかしたら…」
そういって、また僕に唇を重ねてくる。
ちょっと、鉄の味のするキス。
「ん っ う オール マイト。」
「可愛い。私には今まで ヒーロー活動で忙しくて、恋人や奥さんやそういう人がいなかったけど」
いなかったけど?
「出久」
うわ、オールマイトに 名前で呼ばれた。
「きみは、唯一私のことを打ち明けたパートナーみたいな存在だ。」
僕なんかが?恐れ多いけど、そういってもらえて嬉しい。
けど、このキスは?なんで僕は受け入れるんだろう。
「うん う。」
「もう少し口を開けて。」
オールマイトの舌が入ってくる。
なんか、気持ちいい。
気がつけば 体もギュウギュウと抱きしめられている。

「うっ 痛った。」
「あ、ごめん、足に当たっちゃったね。」
そういって僕から離れたヒーローが少し離れて
また 冷蔵庫のものを探る。

ぺたぺた
俺の腫れてボロボロになった右足に 冷却シートをいっぱい貼って
その上から緩めにテープを巻き出した。
「これで、少し冷やせば、炎症が楽になるよ。」

午後に、リカバリーガールが帰ってくるまで
コッチでサボってるといい。

耳元で囁かれた


サボれだなんて、先生らしくないよ

オールマイト

でも、キス?の意味が自分でもわからなかったけど。



特別扱いされているのは
少し嬉しい。

なんでかな。

そう思いながら
浅い眠りについた。
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