その少女、転生者につき

□プロローグ
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と、いう決意をしたのは恐らくほんの数分前。

死後の世界はどうなってるのかというものは気になってはいた。
寧ろその世界そのものがあるのかどうかも、私はずっと気になっていたのだ。

だが、流石にこれは無いだろうと私は思う。

私の目は何も見えず、耳から聞こえるのは『ゴポゴポ……』という水音。
この時点で、何かおかしいとは思っていたのだ。

水音を辛うじて感じるようになった次の瞬間、私は下半身を何かに引っ張られるような感覚に陥った。
死ぬ直前に感じた苦しさとは別の部類の苦しさのかなりキツい苦しさが込み上げてきて、私の気分はどん底まで下がる。

……だが、その苦しさが長く続くことは無かった。

スポッと何かから抜ける感覚がした後に、視界が急に光で溢れる。


(眩しい!)


光への第一感想はそれだ。
先程まで暗い空間にいたせいか、慣れないその眩しさに私は思わず後退りしそうになる。
まぁ、実際には誰かに抱かれている感覚があるから、後退りできる状態では無いのだけど。

……光があたっている事は分かるのに、目はやはり見えない。
耳も若干聞こえないので今は感覚を便りに自分の周りで起こっていることを分析するしかない。

光を感じた瞬間、私が産声のような物をあげたあの感覚は気のせいだと信じたいと思う。
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