神様の言うとおり

□天谷 武
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「白藤、起きろ。ったく、最前列で寝るとは‥」

重い瞼をそっと開けると先生がこっちを見下ろしていた。
周りからクスクスという笑い声が聞こえる。
それがすごく不快で、というのもあるが物凄い睡眠欲求の波に襲われたから僕はまた目を閉じた。

昔からそうだった
1日の中で何かをするより眠ってる時の方が多かった。

そのせいで友達なんてろくにいない。
そっちの方が楽だから良かったと今はそう思っている。

もうすぐ熟睡できる‥と思ったその時、教室が騒がしくなった。

全く、どれだけ人の睡眠の邪魔をすれば気がすむのか‥。
騒ぎの原因だけでも見てやろうと再び目を開けようと伸びをしたとき、手にはボタンの感触。そしてー

カチッ

ピロリロリン♪ ピロリロリン♪
終ー了ーっ!

後ろから「大和よくやった!」だの「流石白藤くん!」だのと聞こえるので何のことかもわからず、ただ僕は「煩い‥」としか思えなかった。
無意識のうちに眉間に皺を寄せて目を開くと眩しい光と共に視界に映ったのはダルマだった

“勇気”と書いてあるダルマ

その瞬間後ろでパァンッと弾ける音がした。そっと周りを見渡すと首の無い恐らくクラスメイトであろう人達が転がっていた。

「スイッチを押したのは白藤大和。白藤大和生きる!」

「…は?」

ダルマが、喋ってる…
元クラスメイト(死体)なんて気にもならなかったけど何故かダルマが気になった。

「お前はネズミや。もうすぐくるでぇ、猫くるでぇ…はよ体育館行きなはれ!」

すっかり眠気がなくなってしまった僕はダルマの言う体育館にいってみることにした。
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