Fate〜Ifの世界〜

□はじまりの物語
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〈遠坂凛〉






昼休み、私はC組へと向かう



凛「衛宮くん!・・・あれ?」



目的の人物、衛宮士郎は教室にはいなかった



柳洞「げ、遠坂凛・・・!」



凛「あら、生徒会長さん。こんにちは。衛宮くん知らない?」



柳洞「衛宮なら、弁当持って学食に行ったが?」



凛「学食?」



柳洞「ああ。なんでも、転校生に勉強を教えてやるそうだ」



凛「へぇ、転校生が来たの?」



柳洞「確か名前は・・・優姫有彩、と言ったか」



凛「え・・・?」



“優姫有彩”



私は、その名前に聞き覚えがあった



凛「・・・・・・学食にいるのよね」



柳洞「ん?ああ」



とにかく急いだ、学食目指して



早足で来たからか、心臓が落ち着かないからか



どっちなのか私自身わからないけど、軽く呼吸が乱れているのはわかる



見つけた、すぐに見つかった



紺色のセーラー服に赤いスカーフ



腰まである、毛先にウェーブが掛かった長い茶髪



間違いなかった



私は彼女を知ってる



士郎「ん?遠坂!どうしたんだ?」



有彩「衛宮、くんの知り合い?」



凛「・・・アンタ、覚えてないの?」



有彩「え?」



覚えて、ない・・・?



知らない・・・?



士郎「優姫と遠坂って、知り合いだったのか?」



有彩「え?いや、私は・・・」



凛「・・・・・・ごめんなさい。私の勘違いだったみたい」



士郎「そうなのか?あ、そうだ。よかったら遠坂も一緒にお昼、食べないか?これから、優姫に勉強教えながらーー」



凛「悪いけど、今回は遠慮するわ」



士郎「え?そ、そっか・・・」



衛宮くんは、特に聞いてはこなかった



正直にいうと、助かったんだけどね



アンタは、本当に覚えてないの?



私を知らないの?



っていっても、私もアンタとは初対面なんだけどね



でも私はアンタを知ってる



どうしようもないくらいのお人好しで、命でさえも自分より他人を優先しちゃうような大バカ



おまけに諦めの悪さは人一倍



“あの時”、“あの場所”で、アンタは私を助けた



凛「・・・・・・優姫、有彩」



屋上まで来た私は、ひとりあいつの名前を呟く



あり得ないと思っていた夢物語が、現実になってしまった



凛「・・・・・・ここでのアンタは、ちゃんと生きていられるのよね?・・・もしもまたアンタが消えるような結末です、なんて結果になったら・・・・・・私は許さないわよ」



まだ、これからの優姫有彩の運命を知らない私は・・・



誰もいない屋上で、誰も聞いていないのに



そんなことを、俯きながら呟いたーー
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