Fate〜Ifの世界〜

□動き出す運命
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優姫有彩が転校してきて、しばらくした頃・・・



レオ「レオナルド・ビスタリオ・ハーウェイです。皆さん、よろしくお願いします」



新たに転校してきた男子、レオナルド・ビスタリオ・ハーウェイ



そして同日に赴任してきた彼の兄、ユリウス・ベルキスク・ハーウェイ



レオ「よろしくお願いしますね、優姫有彩さん」



有彩「あ、うん。よろしく。っていっても、私も最近転校してきたばっかりなんだけどね」



レオ「ええ。そうだと思いましたよ、ミス優姫」



有彩「?」



後ろの席になったレオは、楽しそうに笑みを浮かべてそう言った



なぜそうだと思ったのか・・・疑問を抱いたものの、有彩は他に感じた感覚の方に気が行ってしまう



それは凛と桜にも感じたものだし、今日レオとユリウスにも同じように感じたもの



“懐かしい”という感情だ



会った事はないはずなのに、なぜか彼らに懐かしいという思いを抱いてしまっていた



誤魔化してはいたが、こうも続け様にそういう感情を抱くとは思っていなかった



“初対面のはずの4人”に、“全く同じ感情を抱いた”



この彼の笑みにも、見覚えがある気がした



初対面のはずなのに・・・なぜ・・・?




















レオ「ところでミス優姫」



有彩「ん、何?っていうか、ミスって・・・まいいけど」



レオ「単刀直入に聞きますが、貴女は“僕に見覚えはありませんか?”」



有彩「え・・・?」



レオ「どうでしょう?見覚えでなくても構いません。“僕に何か感じたりはしませんでしたか?”」



有彩「・・・・・・と、特には・・・何も・・・・・・なんで・・・?」



レオ「・・・・・・いえ。それなら、僕の記憶違いでしょう。すみません、突然こんな質問をしてしまって」



有彩「別に・・・大丈夫・・・」



レオ「そうですか。それならよかったです」



有彩「・・・・・・」



レオ「・・・・・・」



士郎「・・・?」



その日から、レオは何かと有彩に話し掛けてくるようになった



それと、何かと理由をつけては一緒にいることが多い



兄のユリウスでさえ、よく視線が有彩に向けられる



まあ彼の場合、本当にさり気なくなので周りには気付かれ難いようだが・・・



なんとなく、士郎にはそれが面白くなかった



士郎「お前、なんなんだよ?」



レオ「はい?」



桜と共に昼食を取るため、早々にこの場からいなくなった有彩を見送った士郎が問う



士郎「だから、明らかに優姫に絡み過ぎだろ?お前の兄だっけ、あのユリウスっていう教員?あの人だってあいつに視線を向け過ぎだし。兄弟揃って、なんでそんなに優姫に構うんだよ?」



レオ「おや?ただのコミュニケーションのつもりでしたが・・・」



士郎「たまに困った顔してるの気付いてないのか?あいつ、基本的には断れないみたいだから何も言わないけど・・・」



レオ「貴方は、優姫有彩をどう思っていますか?」



士郎「は?」



レオ「彼女をどんな人だと思いますか?」



士郎「どうって・・・・・・お人好しって言うか、お節介って言うか・・・まあ、良い奴だとは思う。明るいし、あの桜とも仲良くしてくれてるみたいだし。人に好かれやすいって言うのかな・・・」



レオ「・・・・・・そうですか・・・・・・変わらないんですね、彼女は。どこでどう生きていても」



士郎「え?」



呟かれた言葉に、疑問を抱かないはずがなかった



明らかに初対面であるはずの2人だが、今、レオは確かに言ったのだ






「変わらないんですね、彼女は。どこでどう生きていても」






その口振りはまるで、優姫有彩を知っているかのようなもので・・・



その言葉は、どこか少し重みがある気がして・・・



レオ「そんな顔をしないでください。僕と優姫有彩は間違いなく、初対面ですよ。僕が“一方的に知っている”だけで、実際に会うのは初めてです」



士郎「それって、どういう・・・」



レオ「そのうちわかります。ああ、そうだ。ひとつだけ忠告を」



笑顔なのには変わりないのに、レオのその口調はどこか真剣なものに変わった



“本物の忠告”だと、なぜかそんな妙なことを思った



レオ「優姫有彩・・・彼女を本当に大切に思うのなら、決して彼女から目を、手を離してはいけませんよ。失いたくなければ、ね」



士郎「っ・・・!」



レオ「【ニコッ】では」



あの真剣な声色とは真逆のーー再び楽しそうな笑みを浮かべて言うと、レオは教室から出て行った



士郎「・・・・・・」



黙ったまま、脱力するように椅子に座り直した士郎はこの時、まだ気付いてはいなかった



運命が、動き始めていることにーー
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