Fate〜Ifの世界〜

□はじまりの物語
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〈衛宮士郎〉






藤村「ーーと、長話してもしょーがないか。いいわよ、入ってらっしゃい!」



ガラッ



藤村「じゃあ、優姫さん。自己紹介よろしくね」



有彩「月海原学園から来ました、優姫有彩です。よろしくお願いします」



腰の辺りまである、毛先にウェーブが掛かった茶髪が揺れた



俺が彼女に抱いた第一印象は、明るそうな奴



藤村「はい。じゃあ優姫さんの席はあそこよ」



藤村大河先生・・・藤ねえに言われて、彼女はこっちに歩いてきた



彼女の席は、俺の隣だった



紺色のセーラー服に、赤いスカーフ



スカートはうちの女子制服より短い、かな・・・



そう、見ての通り、彼女は転校生だ



席に座ろうと椅子を引いた彼女と、俺は目が合った



有彩「よろしく。えっと・・・」



士郎「衛宮だよ、衛宮士郎。これからよろしくな。わからないことがあったら、なんでも聞いてくれ」



有彩「ありがとう・・・衛宮、くん」



士郎「?」



柔らかく微笑んでいたはずの転校生ーー優姫有彩が、一瞬だけ表情を固くした



どこか言い難そうにくん付けした、その一瞬だけ



それから授業が始まったけど、気になってふと横に視線を向けてみた



なぜか難しそうな顔をして、教科書を睨むように見ている



どうしたんだ?



士郎「優姫」



有彩「え?あ、衛宮・・・くん。何?」



士郎「?ああ、いや。さっきの授業中、なんか難しそうな顔してたからさ。どうかしたのかと思って」



有彩「・・・・・・こ、この辺」



言いながら彼女が見せてきたのは、教科書の一部数ページ



今日やったところより前の部分だ



有彩「私、この辺・・・やってない、から・・・」



士郎「ああ、そっか。学校によってちょっとペース違うもんな。優姫のいた学校、ここまだやってなかったのか」



今日やったのは、優姫がまだやってないと言ったところの応用だ



わかるわけないか・・・どうりで難しそうな顔してたわけだ



士郎「俺でよかったら、あとで教えようか?」



有彩「いいの?」



士郎「ああ。お昼はどうするんだ?」



有彩「弁当作ってる暇なかったから、学食かな」



士郎「じゃあ、案内がてら学食でやろうか」



有彩「いいの?でも、衛宮、くんは弁当なんじゃ・・・」



士郎「大丈夫だよ。うちの学食、弁当持ち込んで食べてる奴もいるから」



特に、グループで飯食ってるとこはな



誰か学食の奴がいると、弁当持参組は学食に持ち込んでる時がある



有彩「そう、なんだ?じゃあ、よろしくお願いします」



士郎「ああ!」



これが、俺と優姫有彩の出逢いだった



俺達は、これから先にある互いの運命を・・・まだ、知らないーー
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