Fate/stay night

□サーヴァント
1ページ/1ページ




美命の魔眼が開眼してから数日



エルメロイU世が衛宮邸に姿を現した



美命「日本も日本人も嫌いだって言ってたくせに、また来たんだ?」



エルメロイ「事態が事態だ。来ないわけにもいかないだろう。で、目の調子はどうなんだ?」



美命「まだコントロールは無理だけど、今は凛がくれた眼鏡でどうにかなってる」



エルメロイ「・・・そうか。ところでアーチャー。確かお前達が最初に現界したのは、柳洞寺だったな?」



アーチャー「そうだが?」



エルメロイ「そうか・・・・・・私は一度、第四次と第五次に関わった場所を当たってみようと思う。何か手掛かりがあるかもしれないからな」



美命「なら私も・・・」



エルメロイ「お前は彼らといるべきだ」



美命「エルひとりで大丈夫なの?」



エルメロイ「お前よりは大丈夫だ。場所の把握もしているし、第四次に関しては誰よりも私の方が詳しいだろう」



美命「それはそうだけど・・・」



エルメロイ「彼女のことは任せる」



士郎「え?あ、はい」



美命「着たばっかりなのに・・・忙しないなぁ」



凛「それよりさっきの、どういう意味?第四次に関しては、誰よりも詳しいって」



美命「ああ、そっか。知らないのも無理ないか。エルは第四次聖杯戦争の参加者にして、現在の唯一の生き残り」



凛「あの人が!?」



美命「全然そうは見えないけどね」



桜「でも、どうして美命先輩がそのことを?」



美命「当時は私もまだ、日本にいたしね。エルとはその頃からの知り合いだったし。母さんとも仲良かったみたいだから」



凛「へぇ。不思議な縁ね」



美命「私もそう思う」



凛「さて、話変わるけど・・・妙だと思わない?」



士郎「妙って?」



凛「あれからもう何日か経つのに、あっちからの動きがまるで無い」



桜「もしかして、美命先輩の魔眼を警戒しているんじゃあ・・・?」



凛「それでも妙だわ。魔眼なんて、すぐに使いこなせるような代物でもないし。だったら完全に制御される前に襲って、美命を殺した方が楽だと思わない?」



桜「それは、まあ・・・」



士郎「確かにそうだな」



凛「そう考えると、ここまで静かなのは逆に怖いくらいよ」



美命「・・・・・・何かを仕掛けてくる前の下準備中、とか?」



凛「考えられなくも無いけど・・・どうかしら・・・」



アーチャー「警戒しておくべきだろう」



美命「アーチャー」



アーチャー「あの女が何を企んでいるかはわからんが、ろくでもない事なのは間違いないだろう」



凛「それもそうね」



ランサー「ろくでもない事ってのは同意見だが、夜の闇に紛れて来る可能性もある。そっちも用心しておくことだな」



凛「わかってるわよ」




















だが、それからさらに3日



特に何かが起きる事はなかったが・・・



アーチャー「・・・・・・」



美命「やっぱり、ここにいた」



アーチャー「?」



屋根から辺りをボーっと見ていると、美命が上ってきた



アーチャー「どうした?こんな所に上ってきて。危ないぞ」



美命「そうは思ってないくせに」



アーチャー「・・・・・・」



そう、本当は危ないなどとはあまり思っていなかった



彼女は昔から屋根に上るのが好きで、そこから空を見上げるのを特に好んでいた



何度も危ないと言いながらも付き合っていた頃を思い出し、アーチャーは自然とため息が出ていた



どうやら本当に、もうすでに見透かされているようだ



それでも真実を言わないのは、きっと・・・






『士郎が口ごもる時は、大抵なるべく話したくはないけど、話す必要性を感じている時。だから、士郎が話してもいいと思うその時に、ちゃんと聞かせてね』






この約束があるからだ



美命「そこ、いい?」



アーチャー「駄目だ。と言っても座るのだろう、君は」



彼の言葉にクスッと笑うと、隣に腰掛ける



美命「昔もこうして、士郎と空見てた」



アーチャー「・・・・・・」



知っている、とは言いたくても言えなかった



美命「あなたの英雄としての成り立ちは、なんとなくわかってる。契約しているサーヴァントの過去を夢で見るっていうけど。アレ、本当だったんだね」



アーチャー「・・・ああ」



美命「ごめんなさい」



アーチャー「なぜ謝る?君が見ようとか見たいとか思って見たわけではあるまい。勝手に人の過去を見てしまったと罪悪感を抱くのは、少々違う気もするが?」



美命「・・・・・・よくわかったね。私が言いたい事」



アーチャー「ああ・・・・・・嫌になるくらい、君の事はよく知っている。昔からな」



美命「・・・・・・うん。そうだね」



アーチャー「やはり、気付いていたのか」



美命「なんの事?私は知らないよ、何も」



そう言いながらも、彼女の顔は笑っていた



穏やかな、優しい笑みだ



本当は全てわかっているのだろう



アーチャーと衛宮士郎が同一人物である事を



彼の英雄としての成り立ちを



それは自然と、過去を知っている事になる



待つつもりなのだろう、衛宮士郎が話すまで・・・



アーチャー「【ボソッ】いかにも君らしいな・・・」



苦笑しながら、彼はそう呟いていた
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ