Fate/EXTRA CCC
□序章
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気持ちよく晴れた朝の通学路
もう随分通い慣れたはずなのに、未だに覚えられない通学路を歩く
正門には程なくして到着した
時間はまだ十分にある
同じ制服姿の生徒達が、和気藹々と正門を通過していく
習慣(ルーチン)通り、彼女・優姫有彩も正門に向かう
ーーと
呼ばれた気がして足を速めると、そこには生徒会長でもあり友人でもある、柳洞一成が立っていた
有彩〈あー、そういえば・・・今日から風紀強化月間だったっけ〉
柳洞「おはよう!今朝も気持ちのいい天気で大変結構!絶好の学生日和だ!」
有彩「・・・」
柳洞「ん?どうした、その“何か悪いものでも食べたか?”と言いたげな顔は」
有彩「いや、今って風紀強化月間でしょ?身体検査とかいいの?」
柳洞「おかしな事を言うヤツだ。そんなイベントは報されていない。そちらの記憶違いではないか?」
有彩「あれ、そうだっけ?ごめん」
柳洞「いや、謝る必要はない」
有彩〈でもなんで私、間違えたんだろ?〉
疑問に思いつつも笑顔を向け、「先に教室に行ってる」と告げて校舎に向かおうとする
柳洞「ああ、待ってくれ。実は頼み事があるのだ」
有彩「頼み?」
柳洞「悪いが、教室に行く前に一階の用具倉庫を閉めてきてくれないか?鍵を閉め忘れてしまってな。役割(ロール)上、俺はここから動けんのだ。頼まれてくれるだろうか?」
有彩「まあ・・・それくらい別にいいけど」
柳洞「そうか、それは良かった!他の生徒達は皆通り過ぎるだけでな、お前が来てくれて助かったよ」
有彩「あはは・・・」
柳洞「・・・・・・全く。最近は妙な職員も追加されたし、俺も気苦労が耐えんのだ。優姫のような役員があと一人いれば、俺や保健室の彼女も気を休めるのだが・・・む。いや、無神経なコトを口にした。生徒会など無理強いしてまで入ってもらうものではなかったか。これが倉庫の鍵だ。ではな。今日も悔いの無い、善い一日を!」
有彩〈風紀強化月間でもないのに、まだ正門監視するんだ・・・生真面目だこと〉
柳洞一成に別れを告げ、有彩は校舎に向かう
??「惑わさ・・・・・・意識を・・・・・・マスター!これ・・・・・・君・・・・・・を食べるワ・・・・・・」
有彩「っ・・・!?」
昇降口に着いた途端、左手に痛みが走った
何事かと左手の甲を見る
そこには、文字のように見える痣が浮かび上がっていた
有彩本人には、それに覚えはない
痛みはすぐに治まった
単なる目眩だろうと、深呼吸をして気を取り直す
ただーー
有彩〈今の声、誰だったんだろう?なんか・・・・・・すごく懐かしい感じがした〉
校舎に入ると、真っ直ぐ用具倉庫を目指す
そこがなんのために使われていた扉(ゲート)かと言うと・・・・・・よくわからない
用具倉庫なのだから、使わなくなったモノを仕舞う空間(スペース)だと思われる
有彩〈さっさと鍵閉めて、教室行こうかな〉
ガタッ
有彩「?」
中から物音が聞こえ、ドアに耳を当てる
??「それはともかく暇ッスよ〜。でも寂しくない。暇な時はむさぼるように菓子(スナック)を口(マウス)に投入(スナップ)。ん〜、この、何もしないという選択のほんわかっぷりはどうッスか〜。ボクはホント勝ち組ッス〜。っていうか、みんなギラギラし過ぎ。真面目過ぎ。必死過ぎ。そういう宗教戦争はPK共に任せておくッス。だって、優勝者が出るまでここに隠れていれば問題ないし?戦わずして勝つじな子さん、マジ天才www」
有彩〈・・・・・・明らかに誰かいるし!!〉
ドンッドンッ
有彩「ちょっと。誰かいるのー」
??「っ!?」
怪しい物音は一分程で収まった
ドンッドンッ
有彩「ちょっと。入りますよー」
用具倉庫に入ると、明らかに怪しく動くロッカーが目に入った
正直に言おう、あまり関わりたくない
せめてもう少し上手く隠れてほしかった
有彩「そこのロッカーの中身、出てきなさいよ」
??「な、中の人などいないっ!ボクはただの喋るロッカーッス!鉄ッス!鉄くれッス!即ち、これがホントのヘビーメタルッスーーー!っていうか、今中身って言ったッスよね!?中身って!」
呆れて溜め息を吐く有彩の目の前のロッカーの中の人物は、必死で内側から扉を閉めようとする
が、どうやっても閉まらない
有彩「・・・・・・」
有彩〈よし、面倒だ。引き摺り出そう〉
問答無用でロッカーを開けた
有彩「きゃっ!?」
??「ぷぎゃっ!?」
勢いよく開いたロッカーから人が転がり出るが、反射的に有彩はそれを避けてしまった
??「よ、避けるとか酷いッス〜〜!」
有彩「あ、なんか、反射的に・・・」
立ち上がった人物は女性だ
??「・・・・・・ところで、誰ッスかキミ。神聖不可侵な女子部屋に侵入するとか、気持ち的にはソッコー通報したいッス」
有彩「・・・2年A組、優姫有彩。あなたこそ誰?ってか、女子部屋って・・・どこが?」
??「どこからどう見ても女子部屋ッス。一ヶ月近く掃除してないから、ちょっと散らかってるように見えるだけッス。仕方ないッスよね、ここにはヘルパーさん来ないから。隠れ住んでる身分は辛いっつーか」
有彩「・・・・・・とりあえず色々と突っ込みたいとこだけど、ここに住んでるってマジで言ってる?」
??「あわわ、しまった、今のなし!優姫さん、とっぽい顔してるからつい口が滑っちまったぜ」