満月とお星様

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メ「マーガレット〜!起きなさい!!」

ロンドンに構える比較的大きめの屋敷。
そこに、4人の家族が住んでいた。
朝から忙しくキッチンに立って、洗い物をしながら、少し大きめの声で叫んでいるのは、この屋敷の持ち主の妻である、メアリー・アネッサ。

そして、その近くでは、眼鏡をかけ、険しい顔でマグルの写真が動かない物と、写真が動く日刊予言者新聞の二種類の新聞を読んでいるのは、屋敷の主人の、テッド・グランドューレ。

ビ「おはよぅ……ママ、パパ……」

眠そうに目を擦り、髪の毛の所々に寝癖が付いているのは、今年10歳になるビジー・グランドューレ。

「ビジー、ここにいたらぶつかるじゃない…ほら、シャキッとしないと……あ、おはよう、お母さん、お父さん」

その後ろから、呆れたように言うのは、ダークブロンドをまとめて高い位置にポニーテールにし、少しだけ幼さが残るものの、大人っぽい雰囲気を出している、マーガレット・グランドューレ。今年、11歳になったこの家の長女。

「お父さん、予言者新聞読みたい」
テ「ほら……」

席に着くなり、テッドから新聞を受け取ると、熱心に読み始めビジーは洗面所で顔を洗いに一旦離れた。

「うわぁ!見てみて!ニンバスの箒よ!!」
メ「マーガレットったら、本当に箒が好きなのね?」
「だって!おばあちゃんの家で飛んだ時のあの感じ!忘れられないんだもん!!」
テ「お父さんは嫌だなぁ…高いところ苦手だし」
メ「お母さんも…飛ぶのは勘弁だわ」
「えぇ〜?……あっ!ふくろうだわ!こっちに向かってくる!」

マーガレットがキッチンの小窓に目をやると、何かを足にくくりつけてこちらに向かって飛んでくるふくろうが。
彼女は窓に近寄り開けると、すんなり入ってくると、マーガレットの足元に手紙を落とした。

「私宛?」

メアリーがフクロウにシリアルを少し渡すと、役目を終えたのかそれを加えて再び空へと飛び立っていった。

ビ「手紙?」

顔を洗って目が覚めたのか、さっきよりもハンサムな顔つきのビジーが、テッドの横に座ると、手紙を持って動かなくなったマーガレットに言った。
洗い物を終えたメアリーも、少し心配になったのか、彼女の背中に手をやり顔を覗き込もうとした瞬間、マーガレットが嬉しそうな顔をあげると言った。

「やったよ!!お母さん!お父さん!!」
メ「ど、どうしたの?」

さっきの空気からガラリと変わり、テンションが上がっているマーガレット。
メアリーとテッド、ビジーは何事かと顔を見合わせると、届いた手紙を見えるように見せた。

「ホグワーツから、入学許可証が来たの!!」

そう言うと、3人は少し目をぱちくりさせた。

メ「やったじゃない!マーガレット!!」
ビ「すっげぇ!姉ちゃん!」
テ「いやぁ、良かった良かった、許可証が届いて……」
メ「私達の娘がホグワーツよ!」
テ「うんうん。こりゃ、素晴らしい!」

メアリーとテッドは、魔法界で言う“マグル”。マーガレットとビジーは、祖父母の魔力を受け継いで産まれた為、魔法に関しては、2人は無知と言っても過言ではない。
2人が産まれた時から、少しずつ魔法が開花し始め、最初はメアリーとテッドも戸惑っていたものの、祖父母からの言葉で今まで踏み入れたことのない魔法界に足を踏み入れた。
何年も経ち、さすがに魔法の生活にも慣れ、ホグワーツがどのような学校かも知っていた為、大喜びだった。

メ「今日は何日?」
ビ「8月18日だよ!」
メ「あら!大変。時間が無いわ……今日、ダイアゴン横丁に行って、教科書を揃えて、授業に遅れないように少しでも基礎を学んでおかないと!」

手紙に目を通したメアリーは、9月1日までに道具を揃えようと言うと、テッドが少し考えてから言った。

テ「僕は行けないけど……母さんに付いてきてもらうか?」
メ「あら、いい考え!マリー、すぐに来れるかしら」
ビ「ねぇねぇ!僕、漏れ鍋に行きたい!」

3人が盛り上がる中、マーガレットは1人、夢に望んだホグワーツに行けることの喜びに浸っていた。
魔力があるものでも、ホグワーツで見極めなければ入学させてくれないと、テッドの祖父のウィリーから聞いていたため、自分に才能がなかったら、スクイブだったらどうしよう…と不安に思っていた。
そして、12歳になった今年。入学許可証が届き、マーガレットはホグワーツの生徒となることが出来た。
3人が盛り上がっているのを見ながら、入学出来る喜びと共に、両親がマグルでも魔法界に理解のある人達で良かったと、改めて感謝していると急に現れたビジーが言った。

ビ「姉ちゃん!」
「っうわ!ちょっ…驚かせないでよ…ビジー……」
ビ「マリーおばさんに基礎を学ばせてもらうって!ママが言ってたよ!」
「うそ!マリーおばさんが?教えてくれるの?」

マリーおばさんとは、メアリーの祖母で、アネッサ家に代々伝わる動物もどき(アニメーガス)の心優しい魔女。また、マーガレットもその能力を受け継ぎ、彼女に鍛えてもらいながら、色々な動物に変わる事を教わった。
マーガレットもビジーも大好きな魔女であった為、再びその人から教わる事に再度テンションが上がった。

メ「とりあえず、今日、ダイアゴン横丁に行って、教科書とかを揃えましょう?話はそれからよ!」

メアリーの一言に、グランドューレ家が動き出した。
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