雪の夢
□真夜中のドライブデート1
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「ちぎさんお疲れ様でーす」
「はい、お疲れ〜♪」
ガシャン、と心地よくビールジョッキがぶつかり合う音がした。
「みんな今回の公演でだいぶスキルアップしてる気がするよ!」
「ほんとですか?私の歌どうでした?」
隣に座っていた娘役が聞いてきた。
「うん、良かったよ!たくさん練習してたもんね?次も一緒に頑張ろう!」
せいながそう答えると娘役は頬を染めて見つめ返した。
そんな様子を遠くから見ていたゆうみは・・・
『何なんですかあれ・・・!私だってたくさんお話したいのに・・・』
一人ぶつぶつ言って、気が付くと苦手な酒も進んでいた。
「そんなに飲んで大丈夫?」
頭の上から声がする。
見上げると心配そうに眉をひそめる望海風斗がいた。
『望海さん…。大丈夫、です・・・。』
(大丈夫じゃないだろ…)
風斗はすとん、とゆうみの隣に腰を落とした。
「ゆうみちゃんがそんなに飲むなんて珍しいじゃん。何?ヤケ酒?笑」
冗談のつもりで言ったはずの答え合わせは見事一発で当たってしまった。
『ふ、うぅっ・・・・』
あっという間にゆうみの大きな瞳に涙の海が出来る。
一瞬でいっぱいになったと思ったそれはとめどなく溢れて、ゆうみの花柄のスカートを濡らした。
「えっ、えぇっ!??ど、どうしたの!?」
慌ててゆうみの頬を流れる涙を拭う。
『望海さぁぁん・・・・』
風斗の暖かい指先に、ゆうみの想いが涙と一緒に溢れた。
「そっか…。ヤキモチ妬いちゃったんだね?」
『・・・ヤキモチ、でしょうか?』
「そうでしょ。ちぎさんが他の娘と話してるの見てモヤモヤしたんじゃないの?」
『はい…。でも、でもちぎさんは女性ですし…。
こんな気持ち知られたら…っ』
落ち着いた涙がまた溢れる。