□手紙
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それからまた暫し時が経ち。

サトシが筆無精なのは知っている。けれど、何も返してこないとも思わない。返事が欲しくて手紙を出した訳ではないが、やはり郵便物が届く度そわそわとしてしまう。

彼からのものが無いことに僅かな落胆を感じる日々の中、それは届いた。

サトシからの手紙。

無意識に震える指でそっと手に取る。

あまり見る機会は無かった、サトシの字で記された自分の名前。ふわりと、陽と潮の薫りがした気がして消印を見ればアローラ地方のもので驚いた。

と、言うことはつまり。

自室に駆け込み、丁寧に丁寧に封を開ける。ごくり、と喉がなる。

手紙には、拙いながらも、サトシの言葉で、シトロンへの沢山の想いが綴られていた。

シトロンからの手紙が凄く嬉しかったというのは勿論、シトロンが思わず赤面してしまうような、シトロンへの絶賛が飾らぬ言葉で。

その中に、今はアローラ地方でスクールに通っていること、シトロンの手紙がマサラに届いた時、既にアローラに渡っていて、返事が遅れたこととその謝罪も書かれていた。ゲッコウガのこと、知らせてくれてありがとう、とも。サトシの母親が、アローラに手紙を送り直してくれたらしい。

胸が高鳴る。身体に活力が漲り、心は喜びに満ちる。

サトシは、進み続けてる。サトシはサトシの思うまま全力で。

確かな道標などない夢への路をを歩き続けてる。

夢を叶えるその日まで、いや、叶えた後も、きっと。ゴールに寄りかかったりせずに、ゴールを新たなスタートとして、歩き続けてどこまでも。

ならば、僕も僕の思うままに。

シトロンは静かに誓う。次会った時、変わらず隣に立てるように。過ぎ行く時間に翻弄されず、絆を信じて自分らしく前へ。

自然と、笑みが零れる。

大丈夫。この先、何があったって。自分は自分でいられる。離れていても、歩む速度は違っても、互いに成長していける。

そして。

手紙を通した向こう、愛すべき友人の笑顔に語る。





サトシ。





再会を、必ず。




終。



そわそわしてるのを、ユリーカちゃんにはきっとつっこまれてます。


あの曲この曲のフレーズ入れたかったり。

負の植物、森の奥だけじゃないよね、出現するの。とか思ったり。

アローラの消印に気づいて驚くとか。再会を必ずって言わせたくなったりとか。

自分でもよくわからんくなった代物ですが、後悔はしてません!

閲覧ありがとうございました!


 
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