文
□手紙
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EDを見て書きたくなり、書きたいことを詰め詰めしてたら、よくわからなくなり。でも書きたいことは書きました。
サトシがカントー地方に帰り、セレナもホウエン地方へ新たな一歩を踏み出したあの別れから、幾許かの時が流れ。街もまだ傷痕を残すも活気は戻ってきていた。
シトロンがサトシ宛てに手紙を出したのは、そんな時だ。
サトシと旅した、決して色褪せることのない、掛け替えのない日々。楽しいことだけじゃない、苦しいことも悲しいことも全部ひっくるめてずっと輝き続ける、幻のような思い出も少し混じった宝物。
電話をすれば、顔を見て話せる。けれど、言葉にできない、面と向かっては言えない想いを、一文字一文字に込めて伝えたくなった。
手紙など書くのは初めてかもしれない。パソコンでメールを打つのとは違う、ペンを取り紙上に綴る。マシンの設計図を描くのとも違う、わくわくしたりドキドキしたり悩んだり、つい思い出し笑いをしたり、何度もペンが止まった。
謎の植物に襲われた旅のトレーナーが、凄まじく強いゲッコウガに助けられた、という話を聞き、それも手紙に認めた。
書き上げるのにかなり時間を掛けたし、全て伝えきれはしないけど、自分のありったけを詰めた。それを封筒に入れ、しっかり封をする。封筒両面を見て、宛先など、記入漏れがないか最終確認。
サトシは、どんな反応をするだろう。驚くだろうか。でも、きっと笑ってくれる。などと考えて、投函する時なぜか緊張してぎこちなくなった挙動を、近くにいたメェークルが見ていて不思議そうに首を傾げていたのを、シトロンは知らない。