□祝わせて!
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暫くしてフィールドにやってきたサトシは、とても嬉しそうだった。いつもの笑顔の3割増くらい眩しかった。心なしか頬も赤い。


「ぴかぴ!」
「あ、サトシおかえり!」
「おかえりなさい。なんだか嬉しそうですけど通信、誰からだったんですか?」


真っ先にピカチュウが走り寄り定位置に。サトシの手持ち達も集まってくる。

笑顔に当てられ言葉を発せない恋する乙女の代わりに、兄妹が作業の手を止め、サトシを迎える。それにただいまと返し、笑顔まま答えるサトシ。


「ママたちから!なんか今日、オレの誕生日だったみたいで。お祝いしてくれたんだ!プレゼントも送ってくれて、午後には届くって!」
「へぇ、それは――」


良かったですね。と続けようとして固まる。シトロンだけじゃなく、サトシ以外の全員が。


「え?誕生日?」
「うん」
「今日?」
「うん」
「誰の?」
「オレの」
「サトシの、誕生日?今日が?」
「うん」


――間。


「「「サトシの誕生日!!?」」」
「おわっ!?」


勢いよくポケモン含む全員に詰め寄られ、思わず後ずさるサトシ。


「今日が誕生日だなんて知らなかったわよ!?」
「ちょ、なんで言ってくれないんですか!!」
「そーだよ!誕生日だよ!?ユリーカだってサトシのことお祝いしたい!」
「そ、そんなこと言われても!オレだって忘れてたし!」


傍ではポケモン達が、サトシの肩からかっさらったピカチュウに似たようなことを問い質し、ピカチュウもサトシと似たようなことを返していた。


「ほら旅してるとさ、日付の感覚って薄れるだろ!?」


サトシの言い分に、渋々納得を示し身を引く3人。確かに、野宿も多い中、ポケモン関係のイベントでも無い限りサトシは日付を気にする質でもない。

ピカチュウの方もなんとか納得してもらったようだ。それに、それよりも大事なことがある。


「パーティーしましょう」


ぽつり、とセレナが呟く。それに続くはミアレの兄妹。


「そうですね。まだ時間はあります。今から準備すれば夕食は勿論、昼食にも充分間に合います」
「サトシ待っててね!すっごいの用意するから!」


ポケモン達も気持ちを切り替え、サトシを全力で祝う気満々だ。

今の仲間達にサトシを祝うこと以上に大切なことなど無い。ロケット団が襲撃してきても瞬殺だろう。邪魔しようものなら本気で命が危ない。


「え、でも」
「サトシを祝いたいの!」
「サトシを祝いたいんです!」
「サトシを祝いたい!」


何か言いかけるサトシを遮り口々に言い募る仲間達。ポケモン達も必死に訴える。

圧倒されつつも、それはサトシを想ってのこと。嬉しくないわけもなく。


「う、うん、わかった」


自然と笑顔が咲き誇り。


「ありがとな、楽しみにしてる!!」


仲間からの想いを受け取るのだ。







仲間達は笑顔を返しながらも思う。お礼を言うべきなのは、サトシよりも自分達の方だと。

けれど、サトシには伝わりづらいし、言葉にしようにも言い尽くせない。

だから行動する。

さしあたって今回は。キミを全力で、心の底から祝うこと。




――どうか、キミを。



――大好きなキミが生まれた今日という日を。



――祝わせて!!




終。



閲覧ありがとうございます。

ポケセンのフィールドって、バトル中でなければちょっとした広場な感じに使うと思ってます。ベンチもあるし。

そして、故郷メンバーがサトシさんの居場所を突き止められるのはもう、ツッコミ必要ないくらい当たり前のことなんだろうと。きっと、だれかしらの愛の力。か、伝説からリーク。


サトシさんの誕生日。
他にも候補があるという。
サトシさんの誕生日の真実はどこ。

何はともあれ。
サトシ様、誕生日おめでとう!!


 
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