□伝ポケは短気
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「ーーっ!うあぁああぁぁっっ!!」


フレア団に捕らえられ、磔にされたサトシを襲う赤い光。たまらず上げた悲鳴がプリズムタワーに響いた、その時。


――ぶっちん。


どこからともなく、そんな音が聞こえた、気がした。

その音に気付いたピカチュウが、あ。やっべ。と思ったとかなんとか。

瞬間、プリズムタワーに向かって巨大な、岩石砲や流星群など比較にならないほど巨大な岩の塊が降ってきた。ドヤ顔で語っていたフラダリ目掛けて。

それには流石のフラダリも動揺したが、直ぐに己のポケモンと部下に防ぐための指示をだす。

その後ろでは、サトシを拘束していた枷が砕け散り、重力のまま崩れ落ち掛けたサトシの身体がふわりと何かに支えられる。


「生きているか、サトシ」
「…ぅ、……っ、え?あ……れ…?なんで、お前たちが……ここに?ミュ…ウツー…」
「貴方を助けに来たのです。それと」
「でかい図体で短気な神共を抑えるためだ」
「え?それどういう……って、あれまさか裁きの!?」
「理解が早くて助かる。そう、アルセウスの裁きの礫だ」
「彼等も、貴方が関わっていると知っていても、人の起こしたこととなんとか踏みとどまっていたのですが、貴方が捕らえられ苦痛に声を上げたところで堪忍袋の緒がこう、ブチッと切れてしまったのです」
「えぇぇ!?……って彼"等"?」


フラダリ無視って離脱を決め込みつつ会話する。因みにサトシは男性声ミュウツーに横抱きで運ばれている。

ふたりのミュウツーに助けだされ、突然のことにお礼を言うのも忘れ、サトシは抱えられた状態から辺りを見渡せば。いつかの伝説祭りを彷彿とさせる光景が。それに顔を青ざめさせればWミュウツーのフォローが入った。



「心配しなくても、デセル、とかいう街の二の舞にならないよう、手は打ってありますよ」
「私達はお前の救出担当、今の奴等には到底無理だからな」
「けれど、周りに被害がでてしまえば、貴方の心を痛めてしまう、というのも判ってはいます」
「だからある程度自制の利く者達で結界を張っている。勿論、死者を出すつもりも無い。この事態に関係あるなし敵味方に関わらずな。…少しお灸は据えさせて貰うが」
「そっか…良かった。あ!言うの忘れてた。ふたり共、助けてくれて、ありがとな!」


それほど長く赤光を浴びていたわけではないため、ほぼ回復したサトシの笑顔での感謝の言葉に、僅かに頬を赤く染めるWミュウツー。


「構わない。私達もあのまま黙ってなどいられなかったからな」
「えぇ。それに貴方の救出担当というのは中々役得でもありますし」
「?やくとく?……ところで、今どこに向かってるんだ?ピカチュウたちのところに戻らないと。みんな絶対心配してる」
「ちゃんとお前の仲間の許に向かっている。あちらにも別の奴が行って説明している筈だ」
「タワー周辺は危険ですから、避難も兼ねて。だから安心して大丈夫ですよ」
「わかった。みんな、無事なんだな。本当に、良かった……」


やっと完全にサトシから緊張が解け、ほぅ、と深く息を吐く。


「神共を抑える、とは言ったが、最終的にはお前に頼まなくてはならない。その時までそう時間な無いが、身体を休めろ」
「貴方の声は彼等に届きますからね。その時になったら、彼等の名を呼んでやるだけでいいのです」
「それだけでいいのか?」
「いいんだ。"サトシ"に呼ばれる。重要なのはそこだからな」
「そうなの?」
「「そうなの」」


そうこうしてるうち、仲間たちの許にたどり着く。道中、タワー周辺のちょっぴり地獄絵図ちっくな様子にサトシは一切気づかずに。Wミュウツーがさり気なく爆音その他を防いでいたからだが。会話するのに邪魔なので。

そして。飛びついてくるピカチュウやゲッコウガの手持ちたち。シトロン等も駆け寄って来る。アランとマノン、目を覚ましたマノンのハリマロンも一緒に。顔色が少し悪いが。サトシが無事なことに安堵しつつ、説明をしにきたポケモンのこと、サトシを助けたポケモンのこと、そして、フレア団を絶賛ぶちのめし中のポケモン達のことを聞くために。

プニちゃんやアランは、サトシって何者!?と若干の混乱もしつつ。




 
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