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□ピカチュウさんに聞いてみた。
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ピカチュウは現在、今までの人生……いやポケ生最大の窮地にいた。
目の前には山と積まれた大量のケチャップ。さぁ食べて、私を食べて、美味しいよ。とばかりに輝きを放ってピカチュウを誘う。
できるならすぐさま飛び込みたい。衝動のまま、美味なる赤にまみれたい。
だが。ピカチュウの手は、足は、それに向かって動くことを躊躇う。
「……ピカチュウ」
「―っぴ!!」
ピカチュウを呼ぶのは、彼の愛するマスター、最高の相棒で大切な親友。
びくりと小さな黄色い体を跳ねさせ、おそるおそる声の方へ振り向く。だらだらとなにかしょっぱい汁を顔やら背中に流しながら。
しかして振り向いた先の相棒は。
それはそれは優しい微笑みを湛えていて。
「ピカチュウ。いいんだよ。オレのことは気にするな。お前のしたいようにすればいい」
「ぴ、ぴかぴ……」
相棒とケチャップを交互に見、こんな選択を迫らせたものを恨んだ。しかし、何を恨んだところで現状が好転するわけもなく、ピカチュウは苦悩する。
――大量のケチャップと引き換えに、暫くの間サトシと離れて研究所へ。サトシとケチャップ、どちらを選ぶ?
サトシを選べばケチャップは無し。ケチャップを選べばサトシの相棒としてのアイデンティティが崩れる。
つまりはサトシかケチャップか。愛するものとの板挟みっ!
果たしてピカチュウの天秤はどちらに傾くのか!?
ピカチュウの答えやいかに――!!
終わる。
***
作者はピカチュウをいじめたいわけではありません。ただの純粋な疑問です。
ごめんピカチュウ。
お目汚し、失礼しました。