荒れた情(ココロ)とお天気模様
□一念発起
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「侍の国」
俺達の国が
そう呼ばれていたのは
今は昔の話
かつて侍達が仰ぎ夢を馳せた江戸の空には
今は 異郷の船が飛び交う
かつて侍達が肩で風を切り歩いた街には
今は 異人がふんぞり返り歩く
二十年前突如
江戸に舞い降りた異人「天人(あまんと)」
彼らの台頭により侍は弱体化の一途をたどる
剣も地位も
もぎとられ
誇りも、何もかも
すべて
捨て去るを得なかった
いや…
違う、
“捨て去るを得なかった”んじゃない
“諦めて”
“自分”で
“手離した”んだ
了