荒れた情(ココロ)とお天気模様

□閑話休題
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「晋助ー!」


幼い頃から聞き慣れた声に振り返れば、駆け寄ってくる、見慣れた存在の満面の笑顔。
当然のように抱き付いてきたソイツの頭を撫でながら声をかける


「どうした」
「んーん
久しぶりの晋助だなぁって」


動物がするみてェに頭を俺の腹に擦り付けるソイツは、つい最近まで任務で全く傍にいなかった。そのせいで、ソイツに昔からあった引っ付きグセが悪化した
…って言ってもその任務を命じたのは俺自身で、受け入れたのはソイツ自身。
その任務がお互いに「何か」を不足させていたのは言わなくても理解できる
俺もそう、思っていたから。


「…朝メシ食いに行くぞ」
「えぇ〜〜…」


でも、だからと言っていつまでもこのままでいてやるつもりはない。こうなりゃグダグダとなげェ
引き摺ってでもメシ食いに行かねェと菓子ばっか食ってるヤツだからな
菓子ばっか食ってるなんざ、先生が見りゃ何て言うか…


『私に「何か」あったら
護ってあげてくださいね?』


あの日、先生が敢えて俺を選んだ理由は今でもよく解らない。
ただ、あの人は俺がこうなるのを解っていたのかもしれない。


「…晋助?」


覗き込んでくる小さな存在。
自分に何があっても護らなくてはならない存在。


「(、そんなこと思う日が来るとはなァ…)」


乱暴にソイツの頭を撫でればうわっ! と声を上げた


「行くぞ」
「頭めちゃめちゃなんだけど!」
「来島に直してもらえ」
「も〜」


愚痴を溢しながらも付いてくる存在と、先生に。


「(絶対に、変える)」









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