魔道精霊の時計細工師

□シロカネ・ギャングスター
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創造歴1911年。
世界は、真っ黒だ。



この世界は、偉大なる錬金術師であるパラケルススによって造られた、いわゆる『新世界』だ。
新世界の住人たちは、パラケルススにあやかって錬金術……【魔導】を積極的に学んだ。学術都市では、魔導は当たり前の存在である。技術の大小はあれど、子供も老人も誰もが扱う、生活ツールだ。
一般人はみな、魔導師が予め術を込めた『種』で術を行使する。
魔導の動力は、人が持つ《時》で、希少な鉱石である『賢者の石』を核にした時計を媒介にしている。どこの町にも、必ず時計塔が建てられているのは、その為だ。
したがって、時計を代表にした “からくり技術” も、魔導と並んで非常に進歩している。
極東の島国、キサラギ帝国。賢者の石の世界数トップに数えられる産出国である。
キサラギ帝国の小さな町、シロカネには、時計細工店はたったひとつしかない。
「永谷時計細工店」といえば、シロカネタウンの誰もが知っている。
腕もよく、人柄もいい。
そこの次男坊である永谷七味が、母と妹と三人で切り盛りしている。
七味は初等学校を卒業してすぐ、戦死した父から盗んだ技術であくせく働いた。兄は行方不明。妹には高等学校までは行って欲しいし、母には楽をさせてやりたい。

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