長編小説

□Little baby
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Haruna side

青い空なんて好きじゃない。
わたしがいつも見てきた空はいつだって汚かった。

小学生のときから人見知りで友達なんてできなかった。

親は陽菜が産まれてすぐ離婚した。陽菜のことはお母さんが引きとったけどお母さんは陽菜のことなんて愛してなかった。

“あんたなんて産まなきゃよかった”

“笑わないで、父親に似てんのよ”

“とっとと大人になって出ていきな”

毎日毎日そんなことを言われた。

でもそんなの辛くなかった。
……感情なんてとっくの昔になくしてしまった。

だから笑うこともしなくなった。泣くことも、怒ることも…。

感情がない陽菜を周りの人はこう呼んでたっけ。

“ロボット人形”

小学校のときは悪口やちょっとした嫌がらせで済んだ学生生活も中学生になると激しさをました。

悪口なんて当たり前。
毎日なくなる靴やシューズも…
汚される体操服も…
悪口を書かれた机も…
あざだらけの背中も…

……もう何も感じなかったから。


そんな陽菜が唯一怖かったこと。

それは………。






陽菜の人生なんてこうやって終わっていくんだ。

このまま汚い世界で生きていくんだって思ってたのに……



差し伸べてくれたあなたの手は綺麗で、真っ白で…

陽菜が触るには申し訳ないくらいキラキラしてた…










……ゆうちゃん、陽菜を助けて?
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