長編小説
□Little baby
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高校生になっても陽菜の生活は全く変わらなかった。
そんな陽菜に転機が訪れたのは高校1年生の秋だった…
「今日ならこのクラスに転校生がくるぞー、よーし入れ。」
ドアが開く音が聞こえる。周りはみんな転校生の事で頭がいっぱいなんだろうなー。…陽菜には関係ない。
『大島優子です!よろしくお願いします』
“かわいいー”、“ちっちゃーい”そんな声が飛び交うなか先生が大島さんの席に指名したのは陽菜の隣。
『よろしくね、私大島優子!』
「……」
『…??』
それから休みになるたびに大島さんの周りにはたくさんの人が集まった。大島さんがクラスの人気者になるまで時間は必要なかった。
明るい笑顔、みんなを楽しませる話、抜群の運動神経、頭の良さ…
陽菜の苦手なタイプだった。
相変わらず陽菜に話しかけてくる。
『ねぇ、小嶋さんってどこ住んでるの?今日一緒に帰らない?…ねぇーてばー!こーじーまーさーんー?』
「あぁー、優子無理無理。小嶋さんはお人形だから。」
『お人形‥?』
「そうそう、何考えてるから分かんないし普段から話してとこなんて見たことないもん。」
『…小嶋さんは人間だよ?しかも、こんなかわいい女の子なのに、お人形とか失礼だよ。…小嶋さんもなんか言ったら?みんなに誤解されちゃうよ?』
「……」
「優子、もうほっときなよ?小嶋さんと関わったら優子までひどい目みるよ?」
『えっ?』
そう。陽菜と一緒にいたらひどい目をみる。これを信じてもう離れてほしい。関わらないでほしい。
…そう思ってたのに
『小嶋さん、行こ?』
そう言って陽菜の手をギュッて握って教室を出る大島さん。後ろからみんな見てるのに…大島さん変な子だと思われるのに…
でもなんで手を離せないんだろ。