銀色物語〜短編〜

□非番
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土方はその日は非番だった。
朝はいつもより遅く起きて(といっても7時起きだが)ゆっくり朝食を食べ、午前中に屯所を出た。
映画を見て(新作のペドロの宅急便だ)、健康ランドでゆっくりと風呂に入り、風呂上がりで火照った体でコーヒー片手に公園のベンチで風に当たって。
沖田辺りが見れば
「随分とつまんねぇ非番ですねィ。まぁ、土方さんは友達居ないから仕方ないのかもしれやせんが」
だの言っただろうが、土方は普段の姿からはあまり想像できないかもしれないが、こうみえて案外風流を嗜むのだ。
ゆっくりとした穏やかな時間に身を弛らせながら、土方は煙草の煙をゆっくり夕方の空へ吐き出した。

気分が良い。

山崎からの緊急連絡も無い。
近藤は部屋で書類をまとめ、沖田も今日は随分と静かだ。(大方どこかでサボってるのかもしれないが)
そして何より、土方の以前の非番の時、何かと鉢合わせてしまった銀髪も見かけない。

「久しぶりに、酒でも飲むか…」

土方は、煙草をもみ消すと、馴染みの居酒屋へと歩き始めた。
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