幸福の花園

□月の寮の朝
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「本当?じゃあ莉磨、お願いするわ。一緒に千里を起こしに行きましょう。」
そう言うと莉磨を連れて麗姫は恋人の千里を起こしに行った。


「前から思ってたけど、莉磨と千里って麗姫に懐きすぎて最早犬みたいだよね。」
ボソッと拓磨がつぶやく。

「聞こえてるわよ拓磨!」
二階の方から麗姫の声が聞こえた。
「あれれ?聞こえてたか。流石純血種の聴覚は鋭いなぁ。」
アハハと笑いながら拓磨は飄々としている。
瑠佳は、心の中で純血種に対してこうも悪びれずに意見できる人は副寮長だけかもしれないと思った。


一方その頃二階では、
「拓磨ったらヒドいわねぇ、莉磨と千里を犬だと思ったことなんかないのに。」
一条に大好きな莉磨と千里を犬扱いされた麗姫は少し不機嫌だった。
「別に麗姫様が望むなら、犬でも猫でも構いませんよ。」
寧ろ犬になって麗姫にさらに可愛がってもらえるなら本望と莉磨は思う。
「違うの!莉磨と千里は犬じゃなくて大切な友達だもの。寧ろ家族で良いわ。」
前を歩いていた麗姫は莉磨の方に振り向くと、世界一美しい顔(少なくとも莉磨はそう思っている)を歪めながら反対する。
「ありがとうございます。麗姫様、とても光栄です。ですから機嫌を直してください。折角の綺麗なお顔が台無しですよ。」
麗姫の優しい心に感動し、更に麗姫のことが大好きになりながらも、莉磨は麗姫の不機嫌に歪んだ顔を元に戻して欲しくてお願いする。
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