小さな公園

□淋しい顔
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逢魔時、人は家に帰るとき...
飛段は相方角都と歩いていた
一歩先を歩く無愛想な相方は
何も言わずただ目的地を
目指していた

途中何度か角都を
呼びかけてはみたが
相変わらず無視を決め込む
不貞しながら歩いていると
不意に角都は足を止めた

「角都?」

呼びかけも虚しく角都は
ある一線を見つめていた
視線の先にあるのは小さな公園
その公園ではまだ遊ぶ子供たちが
ちらほらと親に連れられて
帰っていく

それがなにかと飛段は角都を見た
夕日に照らされながら
見る角都は泣いているように
見えた
すごく切ない顔で
すごく淋しげで
その顔で一体何を思うのか

飛段は角都に触れようと
手を伸ばしかけたがすぐに
降ろした

触れて何を言えばいい?
俺はこいつに何を言いたい?

そんなことを思っていると

「いくぞ」

低く通る声は飛段を貫いた
角都の背中を追い
公園を後にした

そんな顔するな、等と
無責任に言えるわけもなく
過去に何があったかも
聞けるわけもなく
ただ2つの影が伸びていた

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