シャーロック・ホームズ

□背中
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「シャーロック、お願いがあるんだけど……なんか寝違えちゃったみたいで、背中が痛いの。だから湿布貼るの手伝ってくれないかな?」
「ああ、構わないよ」





昨日ホームズと初めてお出かけして、また学校に来た今朝。
寝違えてしまったのか、背中に筋肉痛のような痛みがあったのだ。
湿布なんて気休め程度かもしれないが、それでも貼ることにした。





「ミレイ、申し訳ないけど……上の服、脱いで、もらえるかな……?」
「!あ、うん、いいよ……」





これは仕方ないのだ。湿布を貼れと言ったのも私だし。

……なーんて言いつつも、ホームズの前で上半身だけの服を脱ぐことに抵抗はなかった。
しかもちょうど痛い場所は、下着のフックが触れているところだったので、下着も脱がねばならない。





「ミレイ……!その、いいのかい……?」
「……べ、別にね、何してもいいわけじゃないけど……シャーロックなら信用してる。だけだからね……!」
「あ、ああ……」





もちろんだが、ホームズは上半身だけ完全に裸になる私に、ひどく動揺していた。
何かするか否かの前に、少々刺激が強いだろうか。

完全に露わになった前のほうは、腕でしっかりと隠した。





「あ、湿布は私の枕の近くだよ」
「これだね」
「えっと……ここ、腰よりちょっと上あたり……」
「わかった。…………」
「シャーロック?」





ホームズに湿布とそれを貼ってほしい位置を伝えたのだが、彼がなぜか動こうとしない。
後ろを振り向こうとするも、なかなか動きにくいのだ。





「……」
「……!ひゃっ!?」





すると突然、ホームズに背中の真ん中をツーと、腰あたりまで指でなぞられ、思わず甘い声を零してしまった。
それだけでは終わらず、今度は首に腕を回され、うなじのほうに顔をうずめられた。

隠してる胸が見えるんじゃないかと、そっちのほうで心配していた。





「しゃ、シャーロック……?」
「……綺麗だ」
「えっ……?」
「ミレイの体は、とても綺麗だ」
「!……そんな、フェチでもあるの……?」
「いや、別に」





ホームズはうなじに顔をうずめたままで話しているので、彼が喋るたびに吐息が肌に触れ、ゾクゾクさせられる。
本当に、どうしたのだろう。軽く発情でもしたのだろうか。





「そういうフェチではなくて……単純に、ミレイの体が好きなだけさ」
「……それだけ聞くと、なんだかアレね」
「ふふっ……。よく、男性は女性のうなじが好きだと言うが……あながち」
「ひゃ、やめっ……」
「……間違ってないみたいだ」





背中のことなんてとうに忘れたかのように、ホームズは私のうなじに舌を這わせる。
彼には今私の後れ毛と、目の前に広がる皺のついたベッドのシーツしか、見えていないだろう。
私も同じ目線であればそうなのだが、ずっと胸を隠した腕のほうを俯いていた。

それは唇を噛んで、快感に耐えるようなものだとも言える。





「ね、ちょっと、背中を……」
「なに?やってほしいの?」
「ち、違うわよ……!」
「仕方ない。後ですぐ貼るから……」
「シャーロッ……ひうっ……!」





本当は早く貼ってくれ、という意だったのだが、ホームズは"わざと"勘違いして、今度は背中が標的となった。
結局すぐには湿布を貼ってくれず、背中に唾液が一筋流れているような感覚と、僅かな痛みだけが残っていた。



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