シャーロック・ホームズ

□家族と言えども
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221Bへの帰り道。
もう部屋が近くなった時、部屋の中から話し声が聞こえた。

もちろんホームズ、ワトソンは分かる。
だがもう一人、知らぬ声が―。






「失礼します……?」
「あっ、ミレイ……」
「おや、君がミレイ・シュヴェルツか」





ホームズとワトソンは立っており、その知らぬ声の人がソファに座っている。
一瞬依頼人かと思ったが、なんだかホームズの様子がおかしかった。

この状況が分からず首を傾げていると、気難しそうな顔をしてホームズが近づいた。
そして、耳元で囁く。





「実は今、シャーマンについての事件を調べててね。ソファに座っているこの人に力を借りているんだ。名は……マイクロフト・ホームズ」
「…………えっ、ホームズ!?」
「……そう。僕の……兄さんだ」





苦虫を噛み潰したような顔をして、ホームズは伝えてくれた。

恋人である私でも、家族の話は一切しなかった彼だったが……まさか。
だから、ホームズ……シャーロックと、兄マイクロフトの顔、体系を見比べてしまった。

すると、ワトソンが耳打ちをしてきた。





「僕も最初そんな感じに驚いた。実はさっきハドソン夫人が来ててね、ミレイと同じように見比べてた」
「そ、そう……」
「やあ、実はお会いしたいと思っていた。改めて、シャーロックの兄、マイクロフトだ」
「あ……ミレイ、シュヴェルツです……」





わざわざソファから立ち上がって手を差し出したため、一応握手をした。

だがしかし、なぜ私に会いたかったのだろうか。
ホームズが私との関係を教えるわけじゃなかろうし、私自身も会うのは初めてだ。





「ミレイさん、不思議にお思いでしょう」
「兄さんは生徒会長なんだ」
「そう。だから、校内の情報は逐一入ってくる。そのうちと言っちゃあなんだが、ミレイとシャーロックの関係も……ね」
「なっ、ちょっと、待ってください……!!」





私とホームズの関係が有名だということは知っていた。
だがしかし、生徒会長の耳にまで入っているとは―!

私がここに戻る前に既にホームズは聞いていたらしく、苦虫を噛み潰したような顔は変わらずだった。





「それにしてもシャーロック、こんな可愛い子を手なずけるなんてね」
「……兄さん、僕は彼女を容姿だけで決めたんじゃない」
「だと思うがね。恋人が出来る事態、現実ではないかと疑ったよ。だが……これは、予想外だ」





傍から見たら、お兄さんから弟への嫌味に聞こえるが、私からの立場だと私を試しているように聞こえるのだ。
それも嫌味ったらしいのではなく、興味があるように。

すると、私の目の前に腕が見えた。





「!」
「兄さん、生憎ですが。ミレイは僕のものです」
「ほう」





その腕はホームズ―シャーロックで、私の前にかざすようにして守ってくれたのだ。

弟からの挑戦的な態度に、お兄さんも対抗する。
しかしその雰囲気に耐えられず、目の前の腕を押しのけて二人の間に割って入った。





「あの……!もう、やめてください!」
「……ミレイ」
「いやいや、申し訳ない。お気を悪くさせるつもりはなかった。さてシャーロック、彼女については置いといて力を貸そうじゃないか」





私の力か、それともお兄さんの力か。
シャーロックは黙り、そっぽを向いてしまった。

するとすぐお兄さんが事件についての情報を話だし、意識は事件のほうに向いた。

その後―完全にお兄さんと別れ、221Bに戻るまで機嫌が悪かった気がした。



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