シャーロック・ホームズ

□指と指を絡めて
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「ねえシャーロック、ちょっと手いいかしら」
「僕の?」
「そう」





ソファに座って物思いに耽っていたホームズ。
私はとある本を読んでいたのだが、それを読んで試してみたいことがあったのだ。





「その、シャーロックは……もしね?私とロンドンでデ……お出かけするなら、手を繋ぐ?」
「……そうだな、ミレイが言ってくれればいつでもするんじゃないかな。何かあった時は、僕から言うかもしれない」
「そっか。じゃあ、どういう感じがいい?」
「?種類があるのか?」
「ん……詳しくは分からないけど……」





ホームズにデートと言うのは、なんだか引け目を感じてしまったのだ。





「シャーロックは、私と距離が近くなるの……嫌……?」
「!…………だったら、繋いでみてくれるかい」
「!わ、分かった。いろいろあるから、ちょっと……待ってね」





ホームズは驚いていた。なぜだか分からないが。
方法は9種類ほどあったはずだが、彼には珍しいのを試してみよう。

その前に王道のだ。





「こうやって、指の間に指を……」
「……へえ」
「これね、有名なやつで……恋人繋ぎ、っていうの」
「恋人繋ぎ……。恋愛に溺れている人らがやっているけど、ミレイとするのは悪くない」





相変わらず難しい反応をする人だ。
けど、遠慮気味に絡めた指をホームズが強く絡め、更には握ってくるため仕掛けた側な私が恥ずかしい。

次行こう、と言ってわざと離させた。





「次は……そうだな……これは?」
「さっきに比べたら控えめだけど、これは僕からしてるのかい?」
「そうなるね。一方的にやる……みたい」
「これ、いつか使おうか」
「えっ!?」





密接な繋ぎ方も嫌いじゃないみたいだが、どうやら自分が一方的にしている、という服従させる感が好きなようだ。
……あながち間違っていなさそう。





「あとは……これとか」
「ミレイらしくて可愛いね」
「っ……!」





今度は、ホームズの人差し指だけを私が掴んだもの。
街中で、繋ぎたいけど恥ずかしいから……という想いが想像できる。

それにしても、今は何の意図で言ったのだろうか。
全く、不意打ちが多いから困ってしまう。





「本当は、他にもあるんだけど……。私が気になったので」
「ふうん、面白いのがあるんだね。で、いつ試してくれるの?」
「ちょ、それは冗談で……!」
「なら僕が自由にやるね。その本貸してくれるかい?普通なら読まないが、ミレイにやるなら興味がある」





そして、脇に置いた本がすっと取られ、彼の手に渡ってしまった。

―本当はデートが一番なのだが、いろんな意味で"実験"大好きな彼は授業の移動、授業中にこっそり、休みに外へなどなど。
いろいろ試されたわけだ。

ただ、全然嫌じゃなかった。
いつかはデートの時、試してみたいな。



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