Sweet dreams-DGS
□Merry Christmas!!
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※長編ではまだ出会っていないキャラが出てきますが、ここでは既に出会っている設定とします。
「ああっ!やめてぇ……」
「ほらほら、逃げない逃げない〜」
「き、着るからこちょこちょしないでえええ!」
場所は、かのシャーロック・ホームズ宅。
しかし当の本人はおらず、私ミレイと、アイリス・ワトソンに、ジーナ・レストレード。
今日はクリスマスなのだが、パーティーをしないかと数日前から二人に招待されていたのだ。
しかし、今はパーティーというよりかは、私がお着替え人形のように扱われているところである。
「ねえミレイ、黒のガーターか白のガーター、どっちがいい?」
「え、ガーター前提……?」
「ミレイちゃんなら似合うよ〜!」
「じゃ、じゃあ手袋と同じ黒で……」
私が二人に着替えさせられているのは、クリスマスからわかるように所謂サンタ服である。
まず、肩が丸出しで首から一枚に繋がっている赤のワンピース。
胸の辺りには白いボンボンが付いており、スカートの裾に沿って綿が付いている。
そしてガーターと同じと言った黒の手袋は、薄い布地で肘まである。
ガーターは太ももに美しく直線を描き、それに繋がる黒のソックスは一層足のラインを引き立たせる。
「おお〜!ミレイ、可愛いよ!」
「ほ、本当……?」
「じゃあ、あとは帽子をかぶって……ジーナちゃん、写真いっぱい撮るよ!」
「そうだねアイリス!じゃミレイ、ポーズ指定するから多くは動かないでね」
「は、はい……」
着替えが終わったかと一息つこうとしたら、今度はポーズを決めるために動けないという始末。
ジーナかアイリスから口頭で指定があるのかと思ったら、二人が私の腕やら体の向きやらを、マリオネットのように動かすらしい。
私はただ、おとなしく操られていろということだ。
「どうしようか?セクシーなポーズとか?」
「おお〜いいね"せくしー"!!」
だんだん二人が怖くなってきた。
まずは床に横になり、そのまま腰に手を当て頬杖をしてみたり……。
椅子の座に手をつき、撮る側である二人を振り返って、困ったような顔をしてみたり……。
相手を誘惑させるようなポーズばかりをさせられた。
そしてついには、四つん這いにさせられ―。
「んー、ミレイちゃん、ここをこう……」
「もうちょっとさ、腰をくねって……」
「い、痛い……この体勢きついよぉ……」
なんて体中を弄り回されていると、扉が開く音がした。
その場にいる私たち女子三人は、その音に同時に振り返るのだった。
「あ…………」
「…………何をしているのだ」
「あー!検事のお兄ちゃんだー!!」
ああ、バロックが来ることを今まで忘れていた。
元々今日は仕事が休みだったが、ホームズに突然誘われていたのだ。
私と一緒に来れるとは限らなかったため、隅に置いていたことだった―!
「え、えっと……」
「ミレイ、可愛いでしょう」
「……ふん」
「すなおじゃないねー」
「……言っておくが。じきに探偵も来るだろう」
「あ!なら料理の準備しなきゃ!」
「そうだね!」
バロックの言葉で、アイリスとジーナはキッチンへと去ってしまった。逃げるように。
そしてまるで作られたような、この修羅場をとうくぐり抜けようか。
「…………ミレイ」
「は、はいっ!バロックさま……」
「……パーティーが終わったら。……来てもらうぞ」
「っ!!…………はい、かしこまりました……」
極端に僅かな言葉であったが、彼の不敵な笑みと、この状況から何を意味するか、簡単に察することができた。