Sweet dreams-DGS

□11話
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そして裁判のあるバロックを見送り、いつも通りオールドベイリー内で時間を潰した。
バロックが戻ってきたのは、そろそろ夕方になるだろうという時で、戻るなりすぐホームズの件のことになった。





「何か必要ですかね」
「……特に何もいらないだろうな」





ということで、私はバロックと似たような外套を羽織るだけにして、オールドベイリーの前で辻馬車を引き止め、221Bへ向かった。

その馬車の乗り降りの時、知っているとは思うが、いつもバロックは手を引いてくれるのだが……昨夜のことがあったからか、それがいつもよりも身近に、
そしてより胸をきゅんとさせるのであった。

221B、シャーロック・ホームズ宅のベルを鳴らすと、すぐホームズが玄関まで出迎えてくれた。





「やあ、二人とも。結構早かったね」
「そうだな」
「お邪魔します」
「リビングで日本人の二人が待っているから、早速挨拶しに行ってくれたまえ」





リビングに行くと、以前会った時よりかは多少緩い衣服になったミスター・リュウノスケと、ミス・スサトがいた。
私とバロックが入ると、当然驚きや、喜びなどが入り混じった顔をしていた。

当然だろう、私はさておき、バロックとは法廷で一度顔を合わせているのだから。





「ミレイさん、以前はありがとうございました。バンジークス検事も……昨日ぶりですね」
「ああ……極東の弁護士、そして法務助士よ。……ミレイがお世話になったようだな」
「はい、その節は本当に」
「私も、また会えて嬉しいです。ねえ、お二人さんはここに住むことになったんですか?」
「そうなんですよ。言い忘れてたんですけど、僕たち、日本から司法を勉強するため留学しに来たんです。そこで、ホームズさんが住む場所を提供してくれて……」





続きをリュウノスケが言おうとすると、いつの間にか後ろに立っていたホームズが割って入り、こんなことを言い出した。





「そう!僕のおかげなんだよ"僕の"」
「……有り難いのは確かなんですが、わざと強調しないでください」
「あはは……」
「そうです、ミレイ様!そのお部屋見てみませんか?」
「あら、行ってみたいわ!ね、バロックさまも一緒にどうです?」
「……そうだな」





ホームズから屋根裏部屋と聞いていたため、アイリスと童話を読んだ時と同じく階段を上っていった。
屋根裏とは言ったものの、住むには申し分ない部屋だった。

来たばかりというのもあって、まだ整頓されているが、これから住み慣れていくのだろう。





「そういえば、ホームズさんからお聞きしましたけど……住居兼事務所なの?」
「ええ、そうなんです。……事務所、と言ってもまだ先が見えませんけどね」
「ふふ、これからですよ」
「おーい!屋根裏にいる皆〜!」





すると、1階からホームズが私たちを呼ぶ声がした。

もう部屋は十分に見終わったため、すぐにまたリビングへ下りていった。





「ホームズさん、どうしたんですか?」
「ああ、実はね。ミレイさんと死神くんが来た後に、また別の来客があってね。ほら、自己紹介」
「わかってるよ。……えっと、ジーナ・レストレード。その……ホームズとアイリスの知り合い」
「ジーナちゃんね、私はミレイ・シュヴェルツよ。よろしくね」
「っ!?……よ、よろしく……」





ジーナはまだ10代の少女のようで、私から見ても本当に可愛くて、思わず頭を撫でてしまった。
すると彼女は、これに慣れていないのか、顔を真っ赤に染めていた。

続いて、バロック、リュウノスケ、スサトと挨拶を交わしていった。





「これで大体、今日のメンツは確認できたかな?」
「ホームズさん、皆招待したんです?」
「そうなんだよ。それでね、日本人留学生の二人がここに住むことになった記念として……パーティーを開こうと思うのさ!」
「えっ、あたし、挨拶としか聞いてないんだけど……」
「私たちもです」
「ああ、それはすまない。まあ参加するかは自分たちで決めてくれたまえ」





ホームズが適当にそう言うと、リビングで輪のように寄ってたかるほぼ大人たちの真ん中に、一人の幼女が仁王立ちした。
そのアイリスはいつも着ている服の上に、レースの付いた可愛らしいエプロンを付けていた。
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