Sweet dreams-DGS

□10話
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「どうぞ、ミレイちゃん!」





3人分淹れ終わったら、せっかくだからということでアイリスと隣同士に座って、ホームズはゆったりと向かいのソファに座り、共にハーブティーを飲んだ。

まさか隣の小さくて可愛らしい子が、こんな本格的なハーブティーを淹れられるとは。
これはぜひ、もう22歳である私が教えてほしいと思ったほどだ。





「あぁ……美味しい。とっても美味しいわ、アイリスちゃん」
「ほんと!?嬉しいな〜!いつかね、ミレイちゃんに淹れてあげたかったの」
「ふふ、すごい満足したわ」
「えへへ、よかった!」





照れくさそうながら、嬉しさを隠せない笑顔を見せるアイリスの顔は、私もつられて笑顔になるほど可愛かった。
すると、ホームズがアイリスにこんなことを言った。





「アイリス。ミレイさんにしてほしいことがあるんじゃないかい?」
「!!うっ、そ、そうだけど……」
「アイリスちゃん、なんでも言っていいよ」





もしかしたら、私に会いたいと言った理由の一つかもしれない。
それだけでなく、アイリスのお願いを断る理由などどこにもないし、私でよければ叶えてやりたいと思ったのだ。





「あ、あのね。ミレイちゃんにね、童話の読み聞かせしてほしいのっ!」
「読み聞かせ?全然構わないよ!寧ろ、それでいいの?」
「うん……!ね、寝室で一緒に読もう!」
「OK、わかったわ。ホームズさん、行ってきていいでしょうか?」
「もちろん!前からアイリスが言っていたことだからね。寝室も自由に使ってもらって構わないよ」





ホームズの許可も降りたことだし、早速アイリスと共に寝室へ向かうことにした。

寝室に着いたとき、ベッドに二人で入り、ヘッドボードにもたれて一緒に読もうとアイリスが提案してくれた。
私もそれに応じ、棚にいくつも並べられた童話を選んでいた。

全てホームズが買ってあげたものなのだろうか。





「アイリスちゃんは、どれが良いとかある?」
「う〜ん……じゃあこれ!"不思議の国のアリス"!」
「よし、これにしようか。じゃあ、ベッドまで行こう!」





そうするとアイリスは、一番にベッドの上まで駆けて行った。
10歳ながら、彼女は天才とも言えるような人だ。

でも、こういうような子供らしい面を見ることが出来るのは、とても微笑ましいものがあった。





「ミレイちゃん、もっと寄ろう!」
「ふふっ、わかったわ」





アイリスに言われ、もっと彼女と距離を縮めると、もうぎゅっと抱きしめられるほど密接した。
でもまだ幼いアイリスは、妹か、12歳しか差がないながら自分の子供のように感じた。

そして、"不思議の国のアリス"と読み上げ、表紙を開いたら、あっという間にその世界に入り込んだ。―





「いやあ……アイリスも年代の近めな女の人に会えて、嬉しそうだったねぇ……」





先ほどアイリスに淹れてもらったハーブティーを飲みながら、ホームズは一人部屋で感傷に浸っていた。
もうこの思いは、子を思う親の気持ちと同じである。……などと思いながら。

きっと今絶賛読み聞かせ中だろうなと思っていると、様々な妄想が邪魔をしてきた。
ダメだ、女の子同士だからって……!

その思考を止めたのは、救いにもならない思いつきであった。





「……バンジークス検事」





今まで忘れていた。
ミレイとアイリスの仲が良い状況になったのは、ホームズが勝手にミレイを連れて来たからではないか。

しかも、執務室に羊皮紙に怪盗みたいなことを書き置きしたではないか!

きっと裁判がスムーズに進めば、夕方頃には終わって気づくことだろう。
そしてここまでミレイを迎えに来るだろう―。
来たら、どうしたものか。
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