Sweet dreams-DGS

□9話
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※この9話には、ゲーム本編3話のネタバレを含んでいるので、未プレイの方は注意してください。※










「そなたには申し訳ないことをしたが……秘密にしていたことがいくつかあったのだ」
「!そうなのですね……。いえ、気にしていませんよ。もう終わったことですし」
「今朝、シャーロック・ホームズが訪れ……私と二人きりで話しをしただろう。そこで……こんなことを持ち掛けられた」





バロックは、おそらくホームズの言ったことそのままに話してくれた。
それが、以下の文である。





『実は今、とある事件を手掛けていてね。内容は依頼人との約束上詳しくは言えないが、ある連続殺人事件の次のターゲットを、警部に頼まれ事前に推理していたんだ。
そこが、今夜アイリスが出るパーティーの会場だったのさ。

そこでバンジークス検事とミレイさんに……”アイリスが熱を出してしまい、パーティーに出れなくなったから、お二人さんに代わりに出てもらった”という体の作戦に協力してほしい。

大丈夫、簡単な食事とダンス程度だ。

そこで、指定の時間までなるべく居続けてもらい、その時間に僕が駆けつけるから、見つけたと同時に指定の使用人に祭壇側の窓を開けるように言ってもらいたい。
既に、その時間のその場所で、馬車の手配をしてあるからね。

それで普通に帰ってもらえれば、役目は終わりさ。
ちなみに、もう犯人の目星はついている。ただ、ちょっとした隙と―注目される状況を作ってほしいんだ。

ああ、このことは終わるまで知らないフリをしていてくれよ。ミレイさんにもね』





「まあ!そんなことが……。……あ、では、アイリスちゃんの熱は……」
「おそらく、そういう"設定"だろう。隙を作るという目的で……油断させるためにな」
「ホームズさん、無事捕まえられたでしょうか……」
「さあな……」





さすが、シャーロック・ホームズという名は伊達ではない。

事件解決のためとはいえ、実を言うと、バロックと共にパーティーに赴き、ダンスを踊ることが出来たのがとても嬉しかったのだ。
だから、密かに心の中で感謝をしておいた。

すると馬車が停止し、御者がこちらに向かって私たちが住む屋敷に着いたと教えてくれた。
今思えばそう遠くない道のりだったなと、パーティーが始まる前のことが今日だということが信じられないほど、とても濃い一日だった。





「バロックさま。そのタキシード、私にくださいますか?」
「?……良いが……なぜ?」
「いや……私のドレスと共に、きちんと保存をしておきたくなったのです。記念なんてものじゃなくて……美しいものですから」
「……好きにするといい」





その日から、寝室の壁には私が着たドレスと、バロックが着たタキシードが、仲良く隣に並べて飾られた。
バロックは特に気にも留めていない様子だったが、毎日それを見るたび、私は笑顔が無意識に零れるのだった。
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