Sweet dreams-DGS

□現パロシリーズA
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バロックさんが、電話中の主人公にちょっかいを出す・現パロ
・時代設定は今くらい、日本と似た設定。年齢は長編と同じで、二人とも小中高と学校を卒業しています。
・私の中では王道ストーリー。






***
「ミレイ、電話だが。知らない番号だ」
「はあ、見てみますね。……あ、ちょ、ちょっとだけ失礼します」





電話は基本、知らない番号は出ないと決めているバロックとミレイ。
だが今回は、ミレイに心当たりがあったようで、なぜかバロックと物理的に距離を取って、ひっそりと通話していた。

ミレイが知っているとはいえ、疑わざるを得なくなる。
疑いも多少あるものの、これは、とバロックの中で何かが燃え上がった。
ひとまず、ミレイの様子を窺ってみる。





「ええ、ええ……覚えてますよ」



「はあ、へえへえ、……ふふっ、おかしいですね」



「まあ、変わらないのですね。何年経っても……」





これはなかなか、すぐには終わらなさそうだ。
ほんの少しの推理しかできないが、もしや数年来の知り合いではないだろうか。

ミレイの表情を窺うと、比較的緩んでいて、落ち着いて話しているようだから、決して悪い相手ではなさそうだ。
ときどき手を口元に当てて、控えめに笑う姿が愛らしい。……いや、今はそのことはいい。





「はい……はい……ええ、あ、そう、ですか……ううん、どうでしょう……」





突然話の内容が変わったようだ。ミレイが相手の話を理解するときの顔になった。
それに、彼女自身は抑えているのだろうけれど、ちらちらとあからさまにバロックのほうを窺っているのがわかる。

まあいい、確認も兼ねて助けに行ってやろう。





「どうした、ミレイ」
「あ、えっと、その……え?トイレですか?ああ、待ってますよ。……すみません、バロックさま……」
「構わぬが、相手を教えてもらわねばどうにもできぬぞ」
「うー……実は、中学時代の同級生からでして……。同級生の集まり、所謂同窓会なるものをするからと、私も誘われたのです」
「同窓会、か……」





バロックもミレイも、同窓会には行ったこともないし、馴染みのある言葉でもない。
ミレイの様子を見ても、あまり気が進まなさそうである。





「その同級生、どんな奴だ」
「電話の相手ですか?男子ですが、よく話していたのですよ」
「……ほう」
「それで……あ、もしもし。ええ、はい……」





ミレイの、中学時代の同級生、しかも男。
女友達もいたと以前聞いていたが、なぜよりによって男が連絡先を知っているのか。
その男がトイレから帰って来たのか、ミレイが通話を再開した。

元々同窓会に行かせるつもりは無いが、ここは少し意地悪をしてみよう、とバロックの悪い考えがひらめいた。





「予定の日、ですね……っ!?」
「カレンダーでも、お持ちしようか?」
「っ、そ、それどころじゃ、な……えっ、ああ、すみません、こちらの話で……」





ミレイの腰に、後ろからバロックの腕を滑り込ませる。
そして体を密着させ、受話器を当てていないほうの片耳をいじくり回す。

たとえば、ふっと吐息を吹きかけてみれば、ミレイはぶるっと体を震わせる。
耳の中に舌を入れようとして、その寸前で止めてみれば、体が強ばって固まる。

そんな反応が面白く、また愛おしくて、バロックにとってはたまらなかった。





「え、ええ……その日で、ん、」
「行くつもりか」
「!……」





今同窓会をする予定の日を聞いたところであろうが、ミレイが行きかねない返事をする。
あくまでもそれは絶対に阻止したいため、腰に回した腕を少しきつく締めた。

すると、ミレイが何やらバロックに向けて、一生懸命に何かを伝えようとしていた。
よく見ると口の形だけで、声を出さずに伝えるつもりだ。
おそらくだが、"やめてください"と言っている。





「言っておくがミレイ。そなたを行かせるつもりはない」
「で、でも……え、私の後ろ?いいえ、誰もいませんよ……」
「私が許すわけなかろう……。……よろしい。その体に教えてさしあげよう」
「!、」





何を言おうと抵抗するミレイにしびれを切らし、バロックは彼女の首筋に狙いを定めた。
痕がうっすらと残る程度に噛みつき、そこを往復するようにして丹念に舐める。

未だに通話が続いている中、ミレイは漏れ出しそうな声を必死に手で抑えていた。
そんな様子すら、バロックを興奮させる。





「っ……は、はい、わか、りました……あたまに、いれておきま……す、っう、」
「ん……っは、だから断れと」
「はい、ひさしぶりに、こえを、っ、きけて……よかったです」
「もう終わりか?切るぞ」
「え?あっ!」





バロックはミレイの通話の長さにもしびれを切らし、話が終わったと思われるところで強制的に電話を切った。
彼女の腰に回していた腕が緩み、驚いた彼女がこちらを振り向いた。





「もう、バロックさま……!きっと完全に聞かれてたに違いありません……!」
「ミレイが断ろうとせんからだ」
「あの流れで断れるわけありませんよぉ……」





呆れ気味にミレイが眉尻を下げると、バロックが反応する隙を与えさせないほど素早く唇を奪った。
もはやキスで有耶無耶にしようとしている気もしてきた。

いや、キスに限らず過度なスキンシップで。





「先ほどの通話履歴、消さずに残しておけ。あとで折り返して断る」
「え……あ、ううん……もう、好きにしてください」





もう止めることはできない、とミレイは諦めて、どう断るのかは知らないがすべてバロックに任せることにした。

結局、同級生の男子が言っていた予定の日はすべてバロックが断った。
なるべくそのときのことは触れないようにミレイも心がけている。

ちなみに、元は同窓会に行く予定だった日、バロックがミレイに対して何だか甘えん坊だったのは、関係があったのだろうか。



〜終〜
 

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