大逆転学園!

□季節外れ?肝試し!
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「被験?私が?」
「はい!あ、ミレイさまじゃなくてもよろしかったんですけれども。なんと言いますか。ミレイさましか思いつかなかったのです」
「……絶対最初から私にやらせるつもりじゃーん!」
「ほら、やりますよ神血さん!」





寿沙都、龍之介、一真……いつもの仲良し三人組が、嵐のように私のところへやって来た。
一体何の事態かというと、今から肝試しをするらしい。

しかし暑いは暑いものの、夏ではないのだ。怖い思いをして涼む必要はない。
そのはずなのに、夏本番に肝試しをするそうで、お化け屋敷を試しに作ったので私に被験者になってほしい、ということらしい。
でもなぜ私なんだ!





「あと助っ人も呼んでるんだぞ」
「……助っ人?」
「……おい。なぜ私なのだ」
「せ、先生……!」





この時ほど、先生を必要としたことはない。なんて言ったらお仕置きされてしまうが。

三人組が呼んだ助っ人とは、我らが担任バンジークス先生だった。
物凄く嫌そうな顔をしているが、先生がいれば怖いものなしだろう。





「ということで。お二人で行ってきてくださいまし」
「な、なら仕方ないなぁ。ちょちょっと改善点見つけて戻ってくるよ」
「ほう……自信満々だな神血」
「だって先生がいるんですもん!一人だったら干物になっているところですよ!」
「ふん、どうだか」





三人組に連れられて、学校で使われていない教室まで向かった。
外から見ても真っ暗で、雰囲気は満点である。





「では、わたくしどもは廊下で待っておりますので」
「うん、わかった。行きましょう先生!」
「はあ……」





ここから離れる気も、逆に行く気もないバンジークス先生の腕を引いて、お化け屋敷の中へ進んでいった。
さあ、笑うラストか泣くラストか―。


三人組は、三人並んでお化け屋敷のほうを向いて仁王立ちになっていた。
ただ、龍之介は暇そうにウロウロしているが。





「どうでしょうかねー神血さん。バンジークス先生は心配ないですけど」
「特にお化けなんかはな、最高級におどろおどろしくしたんだぞ」
「亜双儀のはリアルだったな!神血さん死んじゃうかもしれない」
「もう。二人ともおとなしく待っていてくださいまし」





寿沙都が一喝した途端、お化け屋敷のほうから甲高い叫び声が聞こえた。
何も知らない者なら驚くだろうが、三人組はガッツポーズをしていた。
今の声を皮切りに、間隔を空けて何度も同じ叫び声がした。





「これ絶対神血さんの声だ!」
「あぁ!これはもう大成功じゃないか!?」
「バンジークス先生の声はまったく聞こえませんけれど……」





一真と龍之介は子供のように喜び合い、寿沙都は苦笑いしつつも、うまく行って嬉しいという気持ちが窺える。

そして開始から数十分後、お化け屋敷に入ったときとは違う状態で出てきた。





「…………」
「お帰りなさいませ」
「先生、神血さん元気ですか?」
「くく、見ての通りだ」





バンジークス先生は、なぜかお化け屋敷から出てきてとても愉快そうな顔をしていた。
いっぽうミレイのほうも真逆で、入ったときは余裕と自信に溢れていたのが、衰弱しきってしまっている。

先生の右腕に絡みつくように抱き着いていて、近くで見ないとわからないほど小刻みに震えている。
顔は完全に下を向いているので、感情は一切窺えないが、お化け屋敷がとんでもなく怖かったのは間違いない。





「うわぁ……これは放っておいたほうがよさそうですね」
「バンジークス先生、ミレイさまはどのような感じでしたか……!?」
「初めにお化けが出てからずっとこのような感じだ。私の腰に抱き着きもしてきたが……動きにくいと説得して、これだ」
「まあ……!予想以上の反応でございます!これは盛り上がることでしょう……!」





寿沙都が肝試しをクラスでしたい、と特に意気込んでいたため、一番嬉しいのだろう。
一真と龍之介は、ミレイの豹変ぶりを興味深そうに見つめていた。

すると、バンジークス先生がこんなことを言った。





「では……少々ここを離れさせていただく。あとは貴様等でできるな?」
「はい、お任せください!」
「ありがとうございました先生!」





後片付けなどは三人組に任せて、バンジークス先生とミレイはあるところへ向かった。
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