大逆転学園!

□お悩み相談
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「ほんっとうに訳がわからない……なんであんなことを……ぶつぶつ……」
「あ〜!ミレイちゃん!」
「え、あ!アイ……ワトソン先生!」





廊下でぶつぶつと誰かを呪うかのように呟いていると、とても元気な声が前方からした。
というか、前から知ってる人が来るのに気づかなかったのか、私。

ところで、声をかけてきたのはアイリス・ワトソン先生。
この学校の保健の先生で、とても仲が良い。
なぜならとても話しやすいからだ。ちなみに年齢不詳で通っている。





「別にアイリスでいいのに〜」
「ここは廊下ですから!保健室ならいいですけど」
「律儀なんだね!」
「あはは……」
「で、何か悩み事?」
「え、あ、そうなんですよ……」
「なら保健室行こう!ちょうど戻るところだったの!」





悩んでるのに満面の笑顔で腕を引くアイリス先生。
でも、こうやって共感しすぎないのも長所なのかもしれない。

そうして二人で保健室に来ると、今は誰も来ていないようだった。





「失礼しまーす」
「ね、ハーブティーいる?」
「そそそそんな!そんな学校で……」
「いいのいいの!特権もらってるから」
「え?」
「”ハーブティーくらい、いいよね?”っておねだりしたらすぐオッケーもらったの!」
「……」





こうやって権力を握っているとも噂されている。

しぶしぶハーブティーをふるまってもらうことにして、二人でベッドに座って話をすることになった。
本当に、アイリス先生といるとゆるゆるの私がさらに緩む。





「で、何について悩んでるの?」
「……詳しくは言いたくないんですけどね。なんか、意味深なこと言われたんです」
「意味深?」
「はい。なんというか……期待させるような……」
「ほうほう」
「それがもー頭ぐるぐるしちゃって!それで呪詛みたいなことになってたんです、さっき」





そう話し終わると、アイリス先生は顎に手を当てて考え始めた。
そういえば先生は医学博士の称号を持ってるんだったか。
だから様になるんだ。





「わかった!」
「わかりました!?」
「ミレイちゃん、その人のこと好きな」
「そんなわけないです!!」
「即答だね」





まさかまさか!
あの人に限って好きになるわけ……。





「ほんとにそんなわけないんですよお……」
「えー、でもさその言葉聞いて気になったんでしょ?興味なかったら忘れてるよ」
「う、それもそう、ですね……」
「ふふっ、図星!」





時にアイリス先生は、もしや全て知っているのではないか、とも思えるようなことを言う。
まあ、図星〜!とか言ってきゃっきゃ笑っているから、無いかも。





「もー先生、どうすればいいんですか……」
「まあ学年も上がったばかりだし、様子を見るしかないよね。接してわかることもあるじゃない?」
「……そうですね!私頑張ります!」
「おっ、その調子だー!」





二人して”おー!”と意気込む姿は、傍から見れば意味不明だった。
見られてなかったようで幸い。

吹っ切れたように保健室を出て、教室に戻る。
今ならば、次の授業のために準備をする……そんな優等生みたいなことができる!
そんな晴れやかで爽やかな気分だ!





「……貴様、」
「あれっ、バンジークス先生!どうして……」
「……次は社会だ、馬鹿」
「あっ…………」





前言撤回。
やはり私には、優等生という肩書きは一生与えられないのだ。
もう腹いせに職業=優等生って書いてやろうかしら。

あれ、バンジークス先生が机に座って離れない―。





「……先生、もうすぐ授業です」
「知っている」
「そそそそそれに、皆の視線が……」
「……貴様を弄るのは面白い」
「え」
「ふん、見下ろされているのがお似合いのようだな」





……ちょっとむかってきたけど、そこまで怒れない……。

やっとバンジークス先生は机から降りてくれて、その代わり女生徒からいつか殺されるんじゃないかという視線を浴びていても、
授業が始まり、先生に注意を受けるまで放心状態だった。


ああ、またわからなくなってゆく。





「ミレイさま……もしや……これこそが!禁断の、」
「違うわ寿沙都っ!」



***
 

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