大逆転学園!

□放課後
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私のクラスでは、学校といえばおなじみの”日直”をクラス全員がやる決まりなのだ。
別に担任の先生が決めたわけじゃなくて、何年も同じ組で続けられてきたことらしい。

さて、今日は私がその日直なわけだが、放課後に残って一日のことを日誌に書かなくてはならないのだ。
そのため、最悪な状況で書いている。





「……」
「……」
「……神血」
「ひっ!な、なんでしょう!」
「で、合っているか」
「え……は、はい、神血です……」





そう、バンジークス先生も教室に一緒にいるのだ。
あ、いや、担任なのだから当たり前だけれど。

黒板が真正面にあるとすると、その左側の隅に先生用の机を置いて、そこに座っている先生。
生徒が私を除いていないからか、堂々と机の上に足を乗せている。
あれ、注意する側じゃないのか。





「あ、あの……」
「なんだ」
「もう、名前と顔が一致して覚えていらっしゃるのですか」
「……大体は、な」
「す、すごいですね……まだ始業式からあまり経っていないのに」
「特に。……貴様は覚えやすい」
「えっ」





一クラス大体30人くらいはいるのに、よく数日くらいで覚えられるものだ。
しかも名前と顔が一致するまでに倍以上はかかるのに、それすらもクリアしている。

だけど、最後のほうに問題発言が……。





「待ってください、それって何か変な特徴が……」
「顔ではない。……その気だるさ」
「あ……」
「こんなに気の緩んだ奴は初めて見た」
「……」
「あと、ホームズからも注意を受けていた」
「えっ、ホームズ先生ですか?」





シャーロック・ホームズ先生。
去年私のクラスの担任だった先生だ。
理科を担当している先生で、バンジークス先生に比べたらフレンドリーである。





「このクラスに私が決まった時……特に重要人物については、前クラスの教師が伝えにくることがある。それに貴様がいた」
「重要人物……うっ……」
「『彼女ほど世話を焼きたくなる生徒はいないよ!』……と言っていた」
「褒め言葉に見えて、どう考えても皮肉ですよね……」
「ふん……」





そういえば、会話をしながら日誌を書いていたため、もう今日の分は書き終えていた。
さて、このタイミングで先生のところに行くのは嫌だが、仕方ない。日誌を渡しに行けばミッションは終わるのだ。





「あの……書き終わりました。では、もう私は帰」
「待て」
「え、わっ」





日誌は渡せたは渡せたものの、即座に帰ろうとした途端バンジークス先生に腕を掴まれた。
怖い、怖すぎる。

先生に掴まれている腕が折れそうです。助けてください。





「これから一年……世話になる」
「え……あ、よろしくお願いします……?」
「だが。ホームズにも重要人物とされている通り。やらかしたら容赦なくお仕置きをするからな」
「や、やらかしたら……って!私そんな」
「気だるい、ぼーっとしている、勉強、主に理系……」
「う……」





まさかのお仕置き発言に、身をたじろがせる。
それに、私の問題点を上げるとき先生の顔がにやりとしていた。
あ、そんな顔を見れるとは思っていなかった。





「……それだけだ。早く帰れ」
「む……はい」





引き止めたのは先生だろ、というツッコミは二度とできないと思いつつ、席に戻って荷物をまとめた。
バンジークス先生はというと、私が書いた日誌をしかめっ面で読んでいる。
やだ、変なこと書いていないかしら。

そんなことを考えながら教室を出ようとしたのだが、私は当分先生のある言葉が忘れられなかった。





「あと、神血。今日は二人きりで話ができてよかった」



***
 

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