大逆転学園!

□新しい先生
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「新しい担任かー……どんな感じだろ」
「あらミレイさま、先ほどの式で見られませんでした?」
「私目が悪いし、それにだるくて気失いそうだったからわからなかった」
「……そうでございますか」





この如何にも気だるい感じなのは、私ミレイ。
そして同級生、クラスメイトにも関わらず、かしこまった言葉を使うのは御琴羽寿沙都。
寿沙都とは去年も同じクラスで、その流れでよく話すのだ。

今は始業式が終わって、新しい担任の先生が来るのを教室で待っているところだ。





「ね、寿沙都はちゃんと見れた?」
「はい。なんというか、外国の方のように彫りの深い顔でした」
「へえ〜。雰囲気は?」
「とても寡黙でした。厳しそうでもありましたし」
「そ、そう……」





まったく、学校生活でいいところと言えば気だるさなのに、厳しい先生だったらどうすればいいんだ。
これから先が思いやられる。

すると、談笑で埋められた教室を裂くように、扉が開かれた。





「あ……」
「先生でございますよ、ミレイさま」





ひそひそと寿沙都が私に囁いた。
あれだ、担任の先生は。





「……バロック・バンジークスだ」





なんというか、物凄い先生だ。
と、感想文並でしか表せない私だが、その見た目に釘づけだった。

服装は上も下も黒で、その上から理科の先生を思わす白衣を着ている。胸ポケットから眼鏡が覗いていたから、つけるときもあるのだろう。
髪の毛は紫、だと思う。
なぜ断言できないかと言うと、とても複雑で繊細な色をしているのだ。

その後は、特に面白いこともなく―淡々と進められていった。
ただ、一つだけ気になることがあった。





「ふう……もう終わりか!いいね始業式の日は」
「もう、ミレイさまったら去年と同じことを」
「だってそうでしょ?」
「……反論ができず恥ずかしいばかりです……。あ、ミレイさま。バンジークス先生はいかがです?」
「あー、そのことなんだけどね」





始業式の日の特権は、早めに帰れることである。
荷物をまとめながら、席が前後の寿沙都と話していた。





「何かありましたか?」
「いやあ、ね。なんかさ、私ずっと見られてる気がして」
「……先生に、ですか?」
「うん。ちょっと言い方おかしいかな……えと、監視されてる、みたいな」
「……きっと、それは。ミレイさまがクラスでも想像以上の気だるさを醸し出しているから、かと」
「えっ」





重たい空気を出そうと思ったのに、ことごとく寿沙都に破られた。

うん、少なからず自覚はある。
去年もそうだったから。





「寿沙都。今のうちに、ミレイさまの身を案じておきますとも」
「な、なんでよ」
「おそらく、バンジークス先生にいろいろお世話になると思いますので……」
「もしかして、補習とか……?やめて!そんなこと」
「では私は早速帰って勉強いたしますので」
「ちょ、ちょっと!置いてかないでー!」



***
 

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