大逆転学園!

□甘く儚き関係…?
1ページ/2ページ

3時限目の途中くらいの時間、保健室に2人の女子生徒が入って来た。

体調が優れないとクラスメイトの子とやって来たのは、御琴羽寿沙都。こうして会うのは初めてだ。
少し会話を交わしたが、元気がなく顔色も悪かったためしばらくベッドで寝たらどう?と提案すると、
彼女は渋い顔をしたもののよほど体調が悪かったのか、ベッドで寝ていくと決めた。

きっと新学期というのもあって、疲れが溜まっていたんだろうな。





***





「ミレイ先生、」





ちょうど1時間が経った頃、寿沙都が私のことを呼んだ。
どうやら目が覚めたようで、ここに来た時よりも顔色が良くなっていた。





「あら、おはよう。ぐっすり眠れた?」
「はい。何と言いますか、とても心地が良かったです」
「そう!それは良かった、私の保健室はそれを目指してるからね」
「あの、先生に訊きたいことがあるのでございますが……」





寿沙都が上体を起こしたのに合わせて、私も自分専用の椅子をベッドサイドまで持って来た。





「ミレイ先生って、男性の先生方と仲がよろしいですよね。それはどうしてでございますか?」
「!ほんとだね、どうしてだろうねぇ。女性の先生がいないわけじゃないんだけどね」
「非常に不躾なのですが、その、そういう関係があったり……?」
「あはは、残念ながら今のところはただの友人みたいなものよ」
「そ、そうなのですか」





実はバンジークス先生、ホームズ先生、ドレッバー先生とは飲み友達でもあったりする。
行きつけのBARもあったりして、何というか絶賛大人満喫中なのだ。





「でも確かに、何で一緒にいるんだろう。私でもわからないわね」
「ミレイ先生と他の先生方はいつ知り合ったのですか?」
「私はここに来て2年目だから、1年前ってところかな。来て最初からってわけでもなかったし」
「なるほど……それにしても不思議です。先生からは想像できない方々なので……」
「ほんとそうよね〜」





今は敢えて秘密にしているが、この学校に来てばかりの頃にあの3人に助けられたことがある。
その時からどんなに雰囲気が怖くても、私を大事に思っていることを知ってるから心から接することができるのだ。





「あの人たちの前だとね……なんかすごい心を許せるんだよね。心が裸になれるというか。そういう意味で皆のこと大好きよ」
「……!!」
「?」
「……ハッ、申し訳ございません、感銘を受けておりました!」
「あ、あら、そう」





なぜか寿沙都は目を潤ませて感動に耽っていた。

彼女が言っていた"そういう関係"って、きっと恋人関係のことだろう。
ふと、もし3人の誰かが恋人だったら…と思い浮かべてみた。





「……うん、恋人でもいいかも」
「!!なんとまあ、甘く儚き関係……!」
「あ、あはは……」





またまた感銘を受けられてしまった。





「あっ、つい話し込んでしまいました……。私、もう教室に戻ります」
「わかったわ。この時期は体調に気をつけて、無理しないでね」
「はい!あ、あの」
「ん?」
「また、ここに遊びに来てもよろしいでしょうか……?」
「ふふ、もちろん!そのための保健室よ」





こんな真面目そうな子が"遊びに来る"だなんてね。
そして寿沙都はすっかり元気な様子で保健室を去っていった。

寿沙都が帰った後も、恋人かぁ……と考えを巡らせていた。





***





一方寿沙都は、保健室であの話を聞いた後の昼休みの時間に例の3人に報告をしに行っていた。





「……と、ミレイ先生が仰っておりました。お納めくださいませ」
「貴重な情報ありがとう、御琴羽さん」





ホームズが礼を言い寿沙都は話すだけ話してその場を去ると、
3人の教師は互いに向き合い会議のような雰囲気を醸し出していた。





「まさかそんな話を聞けるとはな……」
「何かご褒美でもあげたほうがいいんじゃない?」
「寝込みでも襲いますかね」





こんな囁きが交わされていたことは知る由もない。





後書き→
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ