大逆転学園!

□君に××だと伝えたら。
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「好きです、付き合ってください!!」
「え……あ、その、えっと……」





おー、やってるやってる。
私は正直、学校でやる奴の気が知れない。
誰かに見られることを考えていないのか?あ、見てほしいのか。

そもそも何が発生しているのかというと、見ての通り見知らぬ男子生徒が、見知らぬ女子生徒に告白している。
現在地は屋上、私はこの二人からは死角となる位置にて、不可抗力でこのシーンを目撃してしまった。

告白された女子生徒は、頬を染めてあたふたしている。
なかなか返事をしようとしなかったが、それを男子生徒は急かすことも、イライラともせず、ただただじっと待っていた。
答えられなければ、今はパスすればいいのに。





「あの生徒、断りたいと思っているな」
「えー、どうして」
「気を遣っているのだ。返事を待ってほしい、とも言えぬのだろう」
「…………え?」
「なんだ」





私の中に悪いことを囁く悪魔がいるのかと思った。

気づけば真後ろにバンジークス先生がいて、デリカシーを感じられないことを言っていた。
どうしよう、私の独り言だと思ってタメ口を使ってしまったではないか。





「どどどどうしてここに」
「いや、たまたま貴様を見つけて」
「……こんなとこふらっと来るとこじゃないんですけど」
「どうでもよかろう。それよりあの男、哀れなものだ」
「……いいじゃないですか。いろんな意味で真面目で」





未だに生徒二人は相対している。
バンジークス先生が言ったことは本当なのだろうか。
もし断ろうとしているのなら、こうやって何も言わずに居続けるのは苦しくないか?





「貴様はこういうのが好きなのか」
「え?どういうことです?」
「ああやって告白されるのが好きなのか」
「……いやいや!これは不可抗力ですから!第一、あんなもの悪寒がしますよ」
「……そうか」





ああ、また先生が変なことを訊いてきた。
なぜどんな告白が好きかなんて訊くのだろう。

すると、やっと二人に動きが見えた。
女子生徒が慌てて頭を下げて、逃げるように校舎の中に入っていった。
男子生徒はしばらく立ち尽くしていたものの、同じように校舎へ入っていった。





「……断ったのかなぁ。聞こえなかった」
「あれでは見当がつかんな。まあ終わったからいいことだ」
「別に、あの二人のこれからなんて、どうでもいいですから」
「ふ、貴様らしいのからしくないのか」
「……どういうことですか」
「何でもない」





先生が今にも吹き出しそうな顔で言う。
私はこういうことには執着していない。冷たいと言われるかもしれないけど。





「貴様は……将来、どんな風に告白されるのだろうな」
「なんですかそれ。なんで先生が案じるんですか」
「……貴様にロマンチックはあまり合わんな」
「ひ、ひどい!っていうか想像したんですか!」





少し思案して、手に負えないという顔をした。
生徒に対してにも関わらず本当ひどい。

だけど、少し笑っていた。
直感だが、この顔はもしや冗談なのではないか。
まあどうでもいい。きっと告白するかされるかなんてロマンチックなこと、私には起こらないもの。――





「ミレイ、好きだ」
「……え?」
「……」
「……ちょ、ちょっと待ってください、そんな、その……」





幻聴でも聴こえてしまったのだろうか―。
体が熱を出したみたいだ。

真面目な顔をして私を見つめる、バンジークス先生が霞んでいく。





「……ふっ、くく、く……!」
「な……なんですか、せんせい……!」
「いや……予想外だ……っふ、」





しばらくすると、先生が手の甲を口元に当てて笑い出した。
また違う意味で体が熱くなってくる。
今度こそ冗談――?





「もうすぐ授業だ。遅刻したら承知しない」
「……」





ぴしゃりとそう言い残して、バンジークス先生も校舎に入っていった。

完全に先生がいなくなったとわかると、思わず地面にへたり込んでしまった。
一体どういうつもりだったのか。
なんだ、"予想外"って――。

本当に、本当に、どういうつもりなの!





「ミレイさまー?ここにいらっしゃるのですか?」
「……!すさと、」
「まあ、こんなところに座り込んで……どうかなさいました?」
「……なんでここわかったの?」
「ミレイさまが、授業が始まりそうなのに戻って来ないので……バンジークス先生に聞いたのでございます」
「……先生……」





なんだか寿沙都が来てくれたことで、現実に戻された気がした。
だが、"バンジークス先生"という単語がまた私を惑わす。

あまりにもぼうっとしていたものだから、寿沙都に腕を引かれ、無理矢理にでも教室へと連れて行かれた。





「もう、ミレイさま様子がおかしいですよ」
「……っ、ごめん、寿沙都。もういいよ、自分で歩ける」
「……左様でございますか?」
「うん。ほんと。授業始まるよ」
「……わかりました。行きましょう!」





寿沙都と話せてよかった。少し気持ちが楽になった。
後でアイリス先生にでも相談してみよう。

――先生のばか。気になって仕方ないじゃないか。



***
 

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