大逆転学園!

□有限なる休み時間
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「えー!?告白したってほんと!?」
「しかも、現在返事待ち!」
「でももう一人狙ってるって噂よ」





ある日の、授業と授業の短い間。いわゆる、放課や休み時間。
クラス内のほとんどの女子が、ある話題で持ちきりなのだ。

しかしそういうのに興味のない私は、また教室の中でゼリーと化している。
すると、何者かの気配が近づいてきたのを感じた。





「神血」
「……わっ!な、なんですか、っていうか机に座らないでください」
「女子らは何を沸いているのだ」
「え?あー……なんだったっけ」





やって来たのはバンジークス先生。
本当に机を自由に扱うのがお好きで、また足を組んで机の上に座っている。

興味がないことには変わりないが、嫌でも耳に入ってくるというもの。
必死に頭から追放しようとした記憶を、渋々引き戻す。





「確か……生徒会の中で、恋愛沙汰があったらしく。つい最近男子が女子に告白して、今返事待ち。そのうえ、もう一人その女子を狙ってる人がいるそうで」
「……」
「……先生、絶対興味ないでしょう」
「ない」
「ですよねー」





話した意味ないじゃん!

……まあ、内容をまったく知らずに、聞いたら大したことないっていうのはよくあることか。
第一、今話した私もいまいちである。
しかし、ふっと訊きたいことが浮かんだ。





「先生は……もし、ですよ?好きな人がいて、その人が違う人に狙われてる……なんてことがあったら、どうします?」
「……聞いてどうする」
「そりゃあ、どうなることじゃありませんけど。興味本位ですよー」
「……そもそも。そういうことはさせない」
「まあ、なんたる自信」
「誰の目にも触れさせぬようにするか……狙う輩を薙ぎ倒すか。どっちがいい」





私が選べというのか。
その選択肢が出てくるあたり先生らしいし、普段の言動で自信に溢れた人なのはよくわかる。

かと言って、なかなか答えは出るものじゃない。





「……うーん」
「それほど悩むことか?」
「だって……先生本気ですもん」
「……当然だ、いるからな」
「え?想い人が?」
「くく、冗談だ」
「むー……!」





冗談っぽく思えないところも、先生の特徴というところか。
だけど、想い人って誰だろう。
同じ職業か、同年代か、それとも……。

なぜ、私は本気で考えているのだろう?





「私だけでは不公平だ。貴様はいるのか」
「え、私は…………いないです、今のところ」
「ほう、そうか」
「なんですか」
「いいや?」
「……いない、というより、わからないんです」





そう、日を重ね、接触していくたびにわからなくなる。
もっと知って、見て、言動を捉えれば、見えてくると思ったのに。





「……考えてもわからぬことはあるだろう」
「!」
「もうすぐ授業だ」





先生がそう言って、黒板側の方向に進んでいった直後に、チャイムが鳴った。
私は次の授業の準備もできていないまま、ぽかんとしていた。
寿沙都に頬をむにむにされて、やっと現実に戻った。





「ずっとバンジークス先生と話しておられましたね」
「先生から話しかけてきたのよー……」
「もしかして、今話題のアレ、でございますか?」
「うーん……事の発端はそうだね」
「ああ、ミレイさまも恋バナを……!」
「ち、違うよ〜!」





考えるほどわからなくなる時点で、ソレの正体は輪郭を持ち始めている。



***
 

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