シャーロック・ホームズ

□Web拍手・ホームズ脳内記@〜J
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人形劇ホームズ・ホームズ脳内記C

「そのことについて。詳しく聞かせてもらえるかな」
「……モリア―ティ、教頭先生……」
「!!」



もう彼女が経験してきたことについて、僕はもう説明できるまでに組み立てられていた。
しかし、ここでモリア―ティの名が出てくるとは。



「あの、私、ずっと閉じ込められていて……」
「……教頭先生の部屋に、かい?」
「はい……お手伝い、みたいなことをさせられていました。でも、不自由は、させないようにと……」
「その傷は、閉じ込められている間に?」
「っ、教頭先生、ちょっと感情が昂ることがあるので……」



傷のことを話すとき、彼女の指が妙に首あたりをそわそわと蠢いていたのが見えた。
おそらく、首を絞められたことがあるのだろう。



「では、数日前に姿を現したのは……」
「逃げることができました。……たぶん、アドラー先生が手を回してくれたのだと……」
「それでベイカー寮で新たに生活を始め、授業にも出るようになった」
「そ、そうですね」
「モリア―ティ教頭先生に見つかることは考えなかったのかい?」
「……絶対、私のことを見ているはずです。でも声は、かけられずに済んでいて……」



ここまでの説明で、僕が組み立てたパズルには合っていた。
ただ”動機”がどうも見つからない。
だが、理解したくもない思考がモリア―ティの中にあるのだろう。

……秘密がほどかれたからって、彼女をこのまま放っておくのか?



「君。何の情も考えずに聞いてくれるかな」
「は、はいっ」
「おそらく君は、モリア―ティ教頭先生と関わっていたから、僕のことを知っていたのだろう。なら僕が依頼を受けているのも知っているね?」
「はい」
「もしこれが依頼だとすると、これで終わりではないんだ。モリア―ティ教頭から君を完全に解放してやらなくてはならない。即ち」
「……」



―そう。僕は彼女を守ってやる必要があるのだ。





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