戦国/三國/BASARA
□戦国絵巻【秋】
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十五夜。
虫達が夜な夜な羽を震わせ鳴く。天守から覗く満月は圧巻だった。
「信長様お持ちいたしました。」
「入れ。」
蘭丸がお銚子を持ってくる。信長は物思いにふけるように天守から顔を覗かせた。
「何故ここなのですか?月見ならお部屋でも...」
「うぬの時間も必要ぞ。」
「それでは蘭丸も失礼致します...」
蘭丸が下がろうと一礼すると信長は蘭丸の名前を呼ぶ。
「信長の傍に...」
「ただいま。」
数歩の距離、信長はもどかしいとばかりに蘭丸の腰に手を伸ばす。そのまま引き寄せられ胡座をかいた信長の中にすっぽりと収まり対面する形になる。
「蘭...」
「信長様...」
2人の間に言葉はいらない。
【秋】おわり
2016.12.02