NATURALLY 【完結】

□NATURALLY I
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柳くんと真田くんは見事勝利。
まぁ、当然っちゃ当然か。

その後の仁王くんのシングルスは、居場所が分からなくて癒せなかったけど圧勝でした。

優勝旗を受け取る真田くん、トロフィーを受け取る幸村くん、賞状を受け取る柳くん。
それぞれが様になっていて、すっごくかっこよかった。

さて、優勝も見届けたことだし、帰りましょうか。

早かったなぁ。
9時からの開催で、開会式と閉会式を含めて12時に終わるなんて。

本当はきっと、私の能力がなくたって勝てると思う。
いや、勝てる。
でも、私の能力で勝ってるんだなって思うとすごく嬉しくなるの。

ダメだなぁ。
毎回触れられるわけじゃないからあれだけど、私も一緒に戦っていたいって欲が出ちゃう。

見慣れた通りに着くと、なぜか湧き出る安心感。
やっぱり地元っていいもんだなぁ。

コンビニに寄ってアイスを買い、学校の近くの公園で食べることにした。

「んー!冷たい!」

おいしい。
今日は気温も高いし、天気がいいから余計にそう感じるなぁ。

木陰にあるベンチに座り、アイスを食べた。
アイスを食べ終わると、ベンチの背もたれに、だらしなく体を預ける。

「あっ。」

アイスのゴミが、風に吹かれて飛んでしまった。
慌てて追いかけると、そこには、横に寝転んだ子猫がいた。

暑さにやられて、寝ちゃったのかな?

撫でようと手を伸ばした瞬間、背筋が凍る。
寝ていたわけじゃなかったのだ。
その子猫は傷だらけで、今にも死んでしまいそうなくらいだった。

「どうしよう…。」

どうしたらいいんだろう。
こういう場に遭遇するのは初めてで、とても戸惑う。
けれど、すぐに、自分には癒す能力があることを思い出す。

「…治さなきゃ。」

子猫の頭をそっと撫でて安心させて、両手で包み込むように持ち、ベンチに戻って膝に乗せる。
子猫の体にある傷が次々に癒えてき、もうほとんど治っている。

いつもは、気力を上げたり、パワーを送る的なものだから、傷が癒えていくのを実際に見ると、私は化け物だな、って実感する。
治せるのは嬉しいし、すごく良い能力だと思うけど、普通じゃない。

気が滅入りそうになっていると、子猫らしい高い鳴き声が聴こえた。
子猫をそっと優しく撫でると、気持ちよさそうに目を細める。

「ふふ。気持ちいい?」

ゴロゴロと喉を鳴らしながら丸くなる子猫を見て、癒された。

私は傷とか痛みとかだけど、動物って心を癒してくれるんだなぁ。

木陰だし、風も入るから暑くなくて、少し眠たくなって来た。
そこまで体制もきつくないし、眠っても平気かな、って思ったその時、スーパーの袋のようなものを持った誰かが公園に走って入ってきた。

眠いからか、あまり良く見えない。
でも、背の高さからして少年ではないことは分かった。

眠くなって重くなった瞼を擦り、目を開く。

するとそこには、さっきまで優勝旗を持っていた真田くんがいた。
うろうろして、何かを探しているようだった。
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