立海R陣 【完結】
□立海R陣 5
2ページ/3ページ
立海R陣 5/2
最初より随分と気を使われなくなったことに気付き、嬉しくなる。
全部は絶対に無理だけど、単語だけでいいって言ったし、言うだけ言おう。
「えっと、んー…。サーブ&ボレーヤー。4月20日。3年B組。ケーキ作り得意。赤髪。弟2人。お菓子大好き。綱渡り、鉄柱当て、じ…っとー。」
危ない危ない。
幸村が入院してるってことは、まだ全国大会終わってないじゃん。
時間差地獄とかワンダーキャッスルはまだ出してないよね。
「あとはー、食べ物をくれる人!ケーキバイキング!RIKKAIスペシャル!数学苦手!だろい!」
ふぅ、と一息ついたところで幸村が笑いながら口を開く。
幸村「うん、ブン太だね。」
さぁ、次は?という目線を送ってくるところが魔王様っぽいなぁ。
「えっと、んー、じゃあオールラウンダー。5月21日。3年A組で風紀委員長。帽子は警察官のお父さんから。苦手科目なし。なめこの味噌汁好き。たるんどる!たわけ!ぬるいわ!風林火山!」
幸村「うわ、すごいね。真田でしょ?」
随分楽しそうですね。
こっちは結構きついんですけど。
そう言いたいけど堪えて、次は仁王にしようかなとか考えている私も、結構楽しんでいるのかもしれない。
「次は…。オールラウンダー。12月4日。3年B組。しっぽある。詐欺(ペテン)師。座右の銘は『黒い白馬にまたがって、前へ前へとバックした』。プリ、ピヨとか。暑いの苦手。ネジとドライバー。肉好き、野菜嫌い。とか?」
幸村「ふふ、仁王だ。それにしても、座右の銘、すごいね。もう1回言ってみてよ。」
「『黒い白馬にまたがって、前へ前へとバックした』。仁王っぽいよね。」
私がもう1回言って聞かせると、幸村は満足したように微笑み、次は?と目で言ってくる。
「んー、じゃあ…。アグレッシブ・ベースライナー。わかめ。赤目になる。座右の銘は『時は金なり』。ゲーセン好き。ナックルサーブ。真田が苦手。明るい子が好き。牛乳飲んでる。」
幸村「赤也だね。ふふ、わかめあたりで分かったよ。」
「わかめって言ったら赤也だもんね。」
私もいつの間にか楽しんでいることに気付き、呆れて笑った。
でも、呆れたのは悪い意味じゃない。
次は?次は?と、いかにもこの状況を楽しんでますと言いたげな目でこちらを見ている。
それに対して私も楽しんでます、次は誰でしょう?という意味を込めてにこっと笑った。
「カウンターパンチャー。6月4日。立海の参謀。立海の歩く辞書。3年F組で生徒会書記。データテニス、かまいたち。純文学、夏目漱石が好き。苦手科目なし。頭良い。お金や時間にルーズな人が嫌い。計算高い女が好き。薄味が好み。将棋、俳句、茶道、暗算が得意。負けはいけないな。など!」
幸村「柳だね。しかし、計算高い女が好きだなんて、初めて知ったなぁ。」
「蓮二は、あんまり自分のこと広めなさそうだもんね。」
ふと窓を見ると、もう結構いい時間だということが分かる。
それでも私は、この時間が楽しくて、まだ病室に居座ろうとしていた。
まだあと2人残ってるしね。
「次はーっと…。サーブ&ボレーヤー。10月19日。紳士(ジェントルマン)。3年A組の風紀委員。全科目得意。清らかな女性がタイプ。ハンカチ欲しい。募金してる。知恵の輪。レーザービーム!好きな食べ物はところ天!!」
幸村「ハンカチが欲しいってところも紳士っぽいね。さすが柳生。」
うんうん、確かにね、と同意したところで病室にノックの音が響く。
そのときの幸村は、なぜかとても嬉しそうに見えた。