立海R陣 【完結】

□立海R陣 4
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立海R陣 4/2


やんわり断られるか、きっぱり断られるかどっちかだと思っていた。
ちょうど真ん中くらいの断り方。

でも断られることは分かってたんだ。
引き下がるわけには行かない。

「私は、この学校に来て、実際に目にしてから初めて、立海の強さの秘密を知れた気がします。まだ練習を見たわけじゃないけど、練習はきっととても多く量があり、大変でしょうけど。」

幸村「じゃあ君は、立海の強さってなんだと思っているの?」

どうしよう。
言うべきかな…。
でもいつかは絶対に言うんだから、今言ってもいっか。

「私、随分と前から、今の立海テニス部のR達を知っています。でもそれは遠くから見ていただけだから、想像や上部だけの姿しか見こなかったんです。だけど実際に立海に来て、R達のみんなと話してみればすぐ分かりました。冷徹だ、勝利しか求めてないって言われますけど、そんなことない。皆ちゃんとテニス部のことを考えてる。私に必死に反対してくる。でも、反対するだけじゃなくて、私の気持ちすら気遣ってくれる。さっきのあなたも、とても優しかったですよ?」

そう言って笑ってみせる。
幸村は驚いていたけど、やがてその頬に1本の筋を作った。

幸村「っ!ごめんね、こんなつもり、じゃなかったんだけどな。」

「おかしいな。」そう言ってぽろぽろと涙を零す幸村は本当に綺麗で、見とれてしまう。
どうしたらいいか分からず、とにかく幸村の手をぎゅっと握って、次の言葉を待つ。

「何事も、『+』に考えると楽だし、意外と上手くいくもんですよ。」

幸村「…そう、だね。はは、こんなに誰かに泣かされたのは初めてだよ。」

からかうように言う幸村が綺麗だ。
涙で濡れた長いまつげ。
泣いてスッキリとしたような顔。

幸村「俺はまだ退院できないけど、君にならマネージャーを任せてもいいかな。でも…。」

いきなり変わった雰囲気。
『でも…。』の続きが気になる。

幸村「前は俺達にも、マネージャーがいたんだ。ただ、その子はファンクラブの子達にいじめられちゃって、転校してしまったんだ。」

思ったより事態は深刻だった。
いじめは予想してたけど、転校させるほどなんて。

「幸村さんたちは、その子のために、何かしましたか?」

幸村「俺達は、華蓮となるべく一緒にいるようにしたし、話を聞いたりしたよ。」

「それは、何もしてないのと同じだと思います。だって、ファンクラブには何もしなかったってことでしょう?」

彼女は嬉しかっただろうけど、やらなきゃいけないことはそうじゃないよ。

幸村「だって、俺がファンクラブにきつく言ったらああなったんだよ?俺が何かしてたら…。」

「何かしてたら、その子をマネージャーとして本当に認めていることが伝わったはず。でも、あなたたちは悪くないと思います。怖かったんですよね。大事な仲間を傷付けられることが。」

「誰も責めたりしません。」と続けた。
なんだか説教じみた話し方だけど、大丈夫かな…。
でもこれが本心なわけだし、仕方ないよね。
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