何も変わらないもの 【完結】

□何も変わらないもの 6
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田中said

本当は許してくれてたなんて驚いた。
すごく嬉しかった。

…だけど、なんでだろう?
今のこの現状。

テニス部のレギュラーのみんなが幸村くんに土下座している。

仁王くんをはじめとする彼らは、私にテニス部のマネージャーをさせてもいいか、というお願いをしている、らしい。
それに、しゃべったことない目を瞑っている人と、絶対に土下座しなさそうな帽子の人、髪の毛がぐちゃぐちゃしてて顔が見えない人もやってくれてて嬉しい。

なぜ私に先に聞かないのかなー?
まぁ、みんなの近くにいて、みんなのサポートが出来るなら喜んでやりますけどね。

幸村「やだな、みんな何言ってるの?もう決まってるよ?」

うん、聞いてないね。
さすがテニス部の部長。

これから、楽しく、忙しくなりそうだなぁ。


――――


あれから約1ヵ月経ち、みんなの顔と名前を一致させることができた。
約1ヵ月一緒に部活していて、みんなの性格も分かってきた。
そしてあの時、なんで真田くんと柳くんが土下座をしたのか全然分からなくて、丸井くんに聞いてみたら『何か弱みでも握られてたんじゃね?』と言っていた。
でも、誰にかは教えてくれなかった。
きっと仁王くんだろうなー。

今、部活内で一番仲良いのは丸井くんかな。
本当は仁王くんって言いたいけど、何か友達とは違うんだよね。
…恋、かな。

そうそう、私、決めたことがある。
1人1人をしっかり見て、先入観を捨てる。
周りの人なんて気にしないで、私が一緒にいたいと思う人と一緒にいる。

これから、何が起こるかなんて分からないし、何も変わらないものなんてない。
だけど、今決心したことだけは変わらないままでいたい。

こんなことを考えて昇降口に向かって歩く。
今日もまたテニス部が始まる。
幸せを噛み締めて、下駄箱から靴を出す。

「?」

靴の中には紙が入っていた。
開いてみると『うしろ』とだけ書かれていた。
訳が分からなかったけど、この字体、こういうことをする人、それはただ1人。
指示に従って振り向くと、視界が何かで阻まれた。
そう思ったら口に何か当たった感触があって…。


仁王「お前さんが好きじゃ。付き合ってくれんかの?」

「…はいっ!」
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