NATURALLY 【完結】

□NATURALLY II
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NATURALLY II


みんなして、何やってるんだろう。

あれから、真田くんは公園内を歩き、茂みに入っていったりしていた。
いつの間にか合流した、柳くんと幸村くんと、また公園内を歩いている。

徘徊大会とかやってるのかな…。
1番うろうろ上手な人が優勝とか…?

あまり人のいない公園で何をやってるのか本当に分からなくてぼーっとしていると、幸村くんと目が合った。

「あっ。」

ずっと見てたの、バレたかな?

すぐに逸らしたけど、もう1度、顔を向けてみる。
すると、幸村くんはスタスタと、多少早歩きでこちらに来ている。

えっ!えっ!

何が何だか分からなくて、とりあえず挙動不審になる。

幸村「こんにちは。えっと、その子、怪我をしているんです。だから…。」

「あっ!えっと、その、だ、大丈夫、です!!」

幸村くんは猫の心配してたんだ!
私のこと、今日会った子って覚えててくれてたわけじゃなかった!!
恥ずかしい死にたい!!!

幸村「大丈夫って…。真田、柳。」

2人が幸村くんに呼ばれて、小走りでこちらに来るのが見える。

え、なんで呼んだ?!
呼ばなくてもいいのに!!
やだ無理もー!
夢の三強に囲まれてるよっ!!

幸村「この子猫、さっき俺達が見た子だよね?」

柳「ああ、そうだな。早く手当してやらないと…。」

うん、みんなして子猫に夢中。
心の中でとても興奮している私になんて目もくれない。
いいなぁ、この子は。

「よかったね、みんな心配してくれたみたいだよ?」

スヤスヤと眠る子猫を優しく撫でた。

真田「あの、その子猫の怪我は…?」

もういいか。
最近、私のしてることがいいことだと思わなくなった。
テニス部のみんなを癒さなくたって、みんなは勝てる。
私の能力は、こういう時だけ使えればいい。
だから、『化け物』って言われたっていいや。

「信じられないかも知れませんが、私には生まれつき、動植物を癒す、傷を治す能力があるんです。他にも、気力や水分、体力を与えたり、奪ったり、そういうことが出来るんです。それでこの子猫の傷も治しました。」

出来るだけ簡潔に話す。
驚いたようすの3人。
3人揃って目線が子猫に。

疑うってこと、知らないのかな?
嘘ついてる訳じゃないけど、信じやすすぎでしょ。

幸村「…へぇ、物を癒す能力、か。」

『化け物』って言われちゃうかな。
大好きなテニス部のみんなに、嫌われちゃうのかな。

幸村「いいなぁ、その能力。」

「へっ?」

柳「確かに、精市の能力は、奪うだけだからな。」

「えっ!」

真田「それに、この子猫も、その能力がなかったら、どうなっていたか分からないしな。」

なんと。
『化け物』だなんて言われない。
むしろ、褒められ、てる?
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