NATURALLY 【完結】

□NATURALLY I
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NATURALLY T


丸井「なぁ、なんか最近アイツら積極的じゃねぇ?」

柳生「そうですねぇ。...ですが、なぜか疲れが癒される気もします。」

仁王「それはお前さんがニセ紳士じゃからじゃろ?」

柳生「仁王くん!!ち、違いますよ!!」

そんな内容の話が聞こえてくる。

...やりすぎたかな。
でも、試合に負けて欲しくないし...。
さりげなく近付いて、服にでも触れられればいいんだけど...。

まぁ、そんな思い通りに行かないのが現実で。

次の試合はS2で赤也くん。
他のR陣とワーワーやっていた赤也くんは、後ろにいる私に気付くはずもなくぶつかってしまった。

私としては好都合。
ドーンと当たってくれた方が助かる。
...多少痛いけど。

だけど、彼らにとっては最悪だろう。
ファンクラブである私に謝るなんてことをしない彼らに、心の中で声援を送る。

相変わらず、空気めっちゃ重いなー。

そして去ろうとしたときに、彼は動く。

幸村「君、ちょっといいかな。」

怒られるかぁ。

そう思っていた私にとって、彼の次の行動はとても驚くものだった。

幸村「...これ、落としたよ。それと、うちの部員が悪いことをしたね。」

うわぁ、お優しい。
私は落し物を受け取るときに彼の手に触れ、意味もなく癒した。

あ、言い忘れていたけど、私は物を直す力、動植物を癒し、時には治す力がある。
何であるかなんて知らない。
生まれつき、かな?
その力を使わないなんてもったいないでしょ?
意識した時にしか発動しないから使いたい時だけ使える。

幸村「…?」






ルンルンルン♪
赤也くんは大差で勝利した。
幸村様に触れられたのはラッキーだったなぁ。
良いことが続いて浮かれた私は、ついにスキップをしだした。

ドンッ!

「ブッ!!」

ぶつかっちゃった。
せっかく上機嫌だったのに、怒るよ?

私は、癒すのと同時に、体力や水分、気力を吸い取ることも出来る。
それらを吸い取られると、脱水症状になったり、だるくなったりする。

気力を奪おうとして、背の高い相手の顔を見るとぎょっとした。

柳くん…。

確か次は柳くんと真田くんのダブルスだった気がする。
癒さなきゃ。
でも…。

なぜ私がこんなに躊躇しているかというと、柳くんは立海の参謀で、立海の歩く辞書。
そんな人にこの能力を使ったら、すぐに気付かされそうで怖い。
バレたらどうにかなるわけじゃないけど『化け物』って言われて嫌われたりしたくない。
だから、今まで柳くんには1度も能力を使っていない。

はぁ、どうしよう。
今日の柳くん、何かしんどそう。

理由は、さっき私が柳くんだと気付かないで少し気力を奪ったから。

柳くん好きだし、勝ってほしい。
柳くんが負けたら、真田くんも負けるよね、私のせいで。

……あー!!もう!知らない!

癒すことは決めたけど、どう触れようかと考えていたとき、柳くんは私の肩をつかんだ。

柳「すまない、大丈夫か?」

「ははは、はい!こちらこそ、前見てなくてごめんなさい!!」

びびる、びびるわ。
こんな急に触られると思わなかった。
予定通り癒せたけど、私の心が爆発しそうだよ…。
彼、自分がかっこいいって自覚してるのかな…。
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