立海R陣 【完結】

□立海R陣 1
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立海R陣 1/1


イヤホンで聴くように、近くで声を聴きたくて。
心に直接届くような距離で声を聴きたくて。
イヤホンで聴くには限度がある。
音を大きくすると、音質が悪くなる。
小さくすると、心まで響かない。

でも、今は私のすぐ近くにいる。
マイクでもない、直接声が聴ける。
声にならないような声も聴ける。

ただ、あなたの歌声を、言葉を聴きたくて。

これはきっと夢だ。
確認するには、ほっぺを叩く。
痛かったら夢じゃない。
痛くなかったら、夢。

確認なんてしたくない。
きっと夢だもん…。

私はゆっくりと席を立ち、教卓の前に立った。

「初めまして。田中こまちと言います。委員会は放送委員会に入ろうと思っています。部活は…男子テニス部のマネージャーをやりたいと思ってます。よろしくお願いします。」

こうやってはっきり言った方が良い。
多分ファンクラブもあるだろうし。

今年からこの学校だから、『知らない内からやりたかったんなら仕方ないか。』と思われるのが狙い。

けれど、席についても誰も話しかけて来なかった。
それは、新学期だからか、私の言葉が原因かのどっちか。

現実は、そう甘くなかったみたいだね。
まぁ、いじめられても大丈夫かな。
人より体力はあるし、喧嘩は家で鍛えられてきたから。
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